【ちばNEWS深読み】県内で広がるイクメン支援 男性の育児参加定着に期待

お父さんとあそぶ女の子(ソフト)

産経ニュース
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 育児に取り組む男性「イクメン」を、自治体や企業が支援する活動が県内でも広がっている。安心して子育てができる環境をつくり、女性の社会進出を促進させることにもつながるため、こうした取り組みは今後ますます重要になりそうだ。
 「まずは『パパになる準備』が必要不可欠!立派なパパになる準備をしましょう」。県が8月に配信を始めたスマートフォン用アプリ「ちばマイスタイルダイアリー」のコンテンツの一つ「パパ育成クエスト」では、冒頭で父親としての心構えをこう説いている。
 同アプリは県が昨年度、女性向けに試験運用していたものをベースに、男性向けの内容などを加え配信された。同クエストは3つのステージで計86のミッション(任務)があり、「周囲への報告や産休についてママと話し合いましょう」「ママの状態や妊娠について学ぼう」といった行動や育児に関する記事を読むことで「レベル」が上がる仕組み。楽しみながら父親の役割を学んでもらう狙いがあるという。
 ◆育男手帳を配布
 千葉市では平成24年1月から「育男手帳(イクメンハンドブック)」の配布を開始。当時としては先進的な取り組みで、23~26年度で計4万5千冊を印刷した。沐浴(もくよく)やおむつ交換の方法などがイラスト付きで分かりやすく書かれ、子育て相談の連絡先なども記されている。
 市はイクメン養成の講座開催にも積極的で、今月からは4カ月連続で子供がいる父親を対象に「パパスクール」を開催。参加者を募集している。市の担当者は「『育児は夫婦で一緒に取り組むもの』という意識を持つきっかけにしてほしい」と話している。
 男性の育児参加に取り組んでいる県内企業も多い。中でも、厚生労働省の「イクメン企業アワード」の特別奨励賞を昨年受賞した千葉銀行(佐久間英利頭取)の取り組みはユニークだ。
 同行は昨年9月から、配偶者の妊娠が分かった時点で男性職員らに「休みをとって妻の検診に付き添います」「育児休業を取得します」といった行動宣言の策定を求め、男性の育児参加を推奨。職場全体で支え合う風土を作るため、上司らに対してもセミナーを開催し、育児に理解のある上司「イクボス」の養成に力を入れている。
 同行によると、男性職員の育児休業取得者は例年7、8人だったが、取り組みを始めた後の昨年10月~今年3月末の約半年間には11人が取得したという。
 ◆「当然になってほしい」
 母親やイクメンが集うキッズカフェ「CAFE ENERGY」(千葉市緑区)のオーナー、斉藤正宏さん(33)は「社会全体としてイクメン育成に取り組むのは良い傾向だ」と、こうした活動の広がりを歓迎する。自身も小学生の子供2人がいるといい、「最初の子育てはどうしていいか分からなかった。育児の方法を記した手帳などがあれば新米パパたちも助かると思う」と話した。
 カフェに来ていた近くの自営業、酒井洋平さん(33)は、働きに出る妻の代わりに日中は長女、かのんちゃん(1)の面倒をみることが多いという。酒井さんは「こうして育児ができるのは楽しい。子供と一緒にいられないパパはまだまだ多いが、男性の育児参加が当然になってほしい」と語った。(大島悠亮)
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