子供の難病:新助成「同じ病気の子 いつか助かるように」

毎日新聞
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◇娘2人がコケイン症候群の患者の母、にこやかに

 「難病として知られることで、治療法の研究が進むかも。そのことがなによりうれしい」。
東京都板橋区の長浜牧子さん(43)は、娘の美彩(みさき)さん(16)と
優華(ゆうか)さん(13)を抱いてにこやかに語った。
2人とも、コケイン症候群の患者だ。
難病や慢性疾患の子供への医療費助成を拡大する改正児童福祉法の成立を受け、
厚生労働省の専門委員会は30日、
新たに107疾患を助成対象に加えることを決めた。

 国内の患者は推定約80人しかいない。
紫外線などから受ける遺伝子の傷を修復する機能に欠陥があり、
低身長や知的障害、早発の老化などの症状が出る。
20歳を迎えることのできない患者も多い。

 美彩さんは1歳半で発育の遅れを指摘された。
その後も周りの子に成長が追いつかず、
コンピューター断層撮影(CT)などさまざまな検査を受け、
3歳の時にコケイン症候群と診断された。
一緒に検査を受けた1歳の優華さんも同じ病気だと分かった。

 「まさか2人ともなんて」。牧子さんはショックで泣き続けた。
そんな母に美彩さんが心配そうに近づき、そっと頭をなでた。
明るく笑う娘たち。子供たちは不幸だと思っていないことに気づく。
「親もしっかりしなければ」と思い直した。

 外出には車椅子などを使い、病院への付き添いには
ヘルパーの手助けが必要だ。
体の機能障害が進行して多くの薬を服用し、多額の費用がかかる月もある。
長浜さんも参加する親たちの団体「日本コケイン症候群ネットワーク」は、
医療費助成の対象疾患に入ることを目指して署名活動を続けてきた。
「対象になって家族の負担が軽減されるのはありがたい」と牧子さんは話す。

 今後への期待は、この病気の根治療法が見つかることだ。
「私たちの子供に間に合わないかもしれない。
それでも、いつか治療法が見つかり、
同じ病気の子供たちが助かるようになってほしい」【桐野耕一】
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