欧州への難民流入 いま、子どもを守る連携を 【プレスリリース】

ギリシャとの国境を接するマケドニアのゲヴゲリヤの一時受け入れ所に辿り着いた女の子。© UNICEF_UNI195496_Klincarov



PR TIMES (プレスリリース)
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※ 本信はユニセフ本部が発信した情報をもとに、日本ユニセフ協会が翻訳したものです。
※ 原文は、http://www.unicef.org/media/media_83110.htmlでご覧いただけます。
※ 関連する画像・動画は、 http://uni.cf/1LOQt9b からダウンロードいただけます。

【2015年9月5日 ニューヨーク/ジュネーブ発】
ユニセフ(国連児童基金)は5日、冬の到来を前に、ヨーロッパには祖国を逃れた何万人もの子どもたちを保護しケアする好機が到来していると述べました。今年、避難先を求めてヨーロッパにやって来た人々の4人にひとりは、子どもです。今年の前半の6カ月間だけで、10万6,000人の子どもが亡命を求めており、昨年から75%増加しています。

ヨーロッパに辿り着いた難民・移民の子どもたちの多くは、過密状態で暴力や搾取の危険と隣り合わせの不適切な環境の中で暮らしています。冬が近づく中、路上で眠る子どもも多く、幼い子どもは特に肺炎などの病気にかかるリスクが高い状態にあります。これからの数カ月の間でさらなる子どもの犠牲を食い止めるには、子どもたちに住む場所とケアを提供するための、連携した支援がいま必要なのです。

危険を伴いながら、ヨーロッパへ、またはヨーロッパ内を移動する子どもたちが増加するなか、EU内の公平な責任分担による協同が必須です。それには、子どもたちやその家族の安全を守るための次のような保護策が含まれなければなりません。

  • 到着した子どもたちに保健ケアや心理社会的支援、遊び、教育を提供する場所となる、安全で子どもにやさしい受け入れ施設を設置すること
  • ヨーロッパ内でのより多くの再定住地の確保と子どもやその家族への人道ビザの発給。そして、亡命申請の手続きは、迅速かつ常に子どもの利益を最優先に行われること
  • 危険な避難ルートの使用や密入国を減らすため、紛争下の国々からの難民の再定住策に、より積極的に取り組むこと
  • 海上や地上での捜索や救出活動の強化
  • 家族と離れ離れになったり、保護者を伴わない子どもたちの、家族との再会プログラムを迅速に進めること
  • 子どもやその家族に対するケアやカウンセリングを行うことのできる、訓練された福祉専門家を必要な人数配置すること


マケドニアのゲヴゲリヤから、電車に乗るための列に並ぶ人々。© UNICEF_NYHQ2015-2082_Georgiev

たとえ故郷を離れていても、海や陸地を移動していても、目指す国の海岸にあっても、すべての子どもへの保護は子どもの権利条約に則っています。

ユニセフは紛争終結のためのより強力な外交努力を通じて、子どもたちに悲劇をもたらすこの巨大な流れの根本原因に取り組むべきであること、そして難民たちの祖国への開発支援と人道支援が必要であると国際社会に対して訴えています。

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<補足>
ヨーロッパへの難民流入において、ユニセフは、シリア、イラク、アフガニスタンなどからの難民の中には、親や保護者となるおとなの同伴なく、子どもだけで移動しているケースも多く、そういった子どもたちはより暴力や搾取の危険に遭いやすいことに警鐘を鳴らしています。

ギリシャを目指すシリア難民が通過するマケドニアのユニセフ事務所代表は、9月4日の記者会見で、「数カ月前までは、難民は若い男性が中心だったが、今は女性や子どもの割合が急増している。先にヨーロッパに逃れた父親を追って、母親と子どもたちが移動するという流れがある。幼い子どもたちの多くは家族と共に移動しているが、16歳から18歳くらいの年長の子どもたちが、保護者を伴わずに移動しているケースも増えている」と述べています。

また、他国連機関も、シリアの周辺国の難民キャンプが混雑や資金不足から受け入れが難しくなっていることが、人々が直接ヨーロッパを目指す要因の一つになっていると指摘し、支援を訴えています。

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■ユニセフについて
ユニセフ(UNICEF:国際連合児童基金)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています(http://www.unicef.org/
※ユニセフ国内委員会(ユニセフ協会)が活動する36の国と地域を含みます
※ユニセフの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています

■日本ユニセフ協会について
公益財団法人 日本ユニセフ協会は、先進工業国36の国と地域にあるユニセフ国内委員会のひとつで、日本国内において民間として唯一ユニセフを代表する組織として、ユニセフ活動の広報、募金活動、政策提言(アドボカシー)を担っています。 (http://www.unicef.or.jp/

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