北海道、無資格保育者活用へ 待機児童対策、現場に懸念の声

保育士さんと子どもたち(カラー)


北海道新聞
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道は11日、保育士不足解消のため、認可保育所の保育士の配置基準を緩和する国の特例を適用する方針を明らかにした。パートなどで一定の保育経験のある無資格者を配置すれば、保育士の人数が条件に満たなくても保育できるようにする。保育士の勤務環境の改善で離職を防ぎ、待機児童解消に役立てたい考えだが現場からは保育の質の低下を懸念する声も出ている。
 同日の道議会少子・高齢社会対策特別委員会で報告した。
 厚生労働省は省令で、子供の人数が少ない朝や夕方も、最低2人の保育士を配置するよう定めていた。4月に施行された改正省令では、2人のうち1人を、一定要件を満たした無資格者で対応できるようにした。幼稚園と小学校の教諭資格者を活用できることなども盛り込んだ。
 無資格者の要件は《1》保育所で1年以上の勤務経験がある人《2》子育てサービスに携わる人材を増やそうと2015年度に国が新設した子育て支援員の研修修了者《3》保育士などが自宅で子供の世話をする家庭的保育事業の従事者―を想定している。
 道の調査によると、政令市の札幌市、中核市の旭川、函館両市を除く道内176市町村のうち、8割の市町村が保育士の確保に苦慮していると答え、9割の市町村が配置基準の緩和を肯定的に捉えていた。道は6月開会予定の定例道議会に配置基準を緩和する条例改正案を提出する予定。待機児童のいる旭川市も、適用に向け条例改正を検討している。
 ただ、道の調査では、保育の質の低下や有資格者への負担増大を懸念する声も。札幌市は保育の質の低下につながる恐れがあるとして「地域の実情に応じて取り組むべきだ。慎重に検討していきたい」(子ども未来局)と話している。
 北海道保育協議会(札幌)の東峰雅博会長は「保育士も命を預かる国家資格。多少の研修を受けた程度の人に安全配慮が十分できるか不安だ。付け焼き刃の対策よりも、保育士不足の抜本的な解決策である処遇改善にこそ力を入れるべきだ」と指摘している。
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