2016/05/24

育児・仕事こなしつつ “主婦アスリート”東京五輪への挑戦

育児や仕事をしながら東京パラ五輪を目指す山崎さん(C)日刊ゲンダイ
育児や仕事をしながら東京パラ五輪を目指す山崎さん(C)日刊ゲンダイ


日刊ゲンダイ
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左手で車いすを操りながら、右手でラケットを操作――。過酷なパラバドミントンで4年後の東京五輪出場を狙っている“主婦”がいる。山崎悠麻さん(28)だ。
 
「バドミントンは小学2年から中学3年までやっていたので、ラケットワークはある程度自信があります。問題は車いすの動き。まだ競技を始めてそんなに時間が経っていないので…日々練習です」

 16歳だった高校1年時に交通事故に遭い、両足膝下の機能を失った。以降はスポーツとは無縁の日々を送り、23歳で結婚。翌年には子宝に恵まれるなど、周囲も憧れる幸せな家庭を築いていた。

 そんな山崎さんが車いすバドミントンを始めたのは25歳になった2013年。偶然の出合いがきっかけだった。

「この年に東京国体があって、私は市役所に勤めている関係で障がい者競技を見に行きました。その時に、パラバドミントン選手とたまたまエレベーターで一緒になり、少しだけお話をしまして。そこから興味を持ったのです」


 バドミントン経験者とはいえ、車いすに乗っての競技は初めて。当時1歳半だった長男の子育てもあり、不安な気持ちもあったが、始めてみると才能が開花。14年に“腕試し”のつもりで出場した日本選手権で、いきなりシングルス2位、ダブルス3位の好成績を残した。

「まさか最初の大会で上位に入るとは思っていなかったので驚きました。でも、『これなら練習すれば海外と戦える』という手応えを感じました。それに東京五輪からパラバドミントンが正式競技になることも決まった。それも私の心に火を付けた理由です」

■競技歴2年で世界のトップクラスも…

 昨年の世界選手権ではベスト8位に入る活躍を見せた。わずか2年足らずで、すでに世界のトップに近づいた。となれば、東京パラ五輪でのメダルも期待されるが、競技を続けるうえでの課題も多い。一つは日本の「競技人口」の少なさだ。


 海外でのパラバトミントン人口は増加傾向だが、日本の競技者は現時点でわずか25人程。関東在住者はたったの4人しかいない。練習相手が少ないため、技術向上は至難の業。現在、山崎さんは健常者のバドミントン選手たちと週2日の練習をこなすが、「ラケットさばきはともかく、この競技は腕の力と車いすの前後の動きが勝負のカギ。その技術をどう磨いていくかが課題なのですが、相手がなかなかいないので……」

 そこに3歳と1歳になる2児の育児。加えて、市役所での仕事に家事もこなす。現在のペースで練習を続けていくのは、相当な覚悟と努力が必要だ。それでも、山崎さんは笑顔でこう言う。

「確かに大変ですけど、子供たちに頑張っている姿を見せたい。それに東京で正式競技になるとはいえ、まだ日本の出場枠が決まっているわけでもない。私が頑張れば競技の裾野は広がり、協力や理解も得られるようになるはず。夫や両親、周囲のサポートに支えられながら、絶対に4年後の東京でメダルを取るつもりです」

 仕事、育児、家事の“3役”をこなしながら夢の大舞台へ。20代主婦アスリートの挑戦は続く。

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