子どもが幼少期に何も教わらなかったらどうなるのか


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義務教育は多くの国で実施されていますが、子どもが幼少期に何も教わらなかったら成長後にどのような影響が出るのかを、アニメーションで解説したムービー「What If You Were Never Taught Anything?」が公開されています。

What If You Were Never Taught Anything? - YouTube

幼い子どもは、自分のまわりの人間や環境を観察することで、世界を学びます。



例えば、子どもは大人の行動を観察して、動きを模倣します。このような学習形態は「観察学習」と呼ばれています。



大人が人形に対して暴言を吐いたり殴ったりするところを、子どもが見ていると……



大人がいなくなった後に、子どもが大人と同じように暴力的な行動に出ることが分かっています。この実験は「ボボ人形実験」と呼ばれ、観察が学習を促すことを証明しています。



もしも、子どものまわりに観察するものが何もなかったらどうなるのでしょうか?また、子どもに物事を教える人がいなかったらどうでしょうか?



例えば、言語などの基本的な学習が欠けている人間を対象に実験を行うとします。



しかし、この実験を行うためには、被験者を生まれた時から孤立した環境に置く必要があり、道徳に反しているため研究を行うのは不可能です。



ごくまれに、何らかの原因でほとんど他人と接触せずに生きてきた野生児と呼ばれる子どもが存在します。最も有名なのはジーニー・ワイリーの例です。ジーニーは生まれてから13年間父親に監禁され、小さな部屋に閉じ込められて過ごしました。



1970年に両親が児童虐待で告訴され、ジーニーは心理学者と言語学者のチームの元でリハビリを開始。



また、ジーニーを研究対象として「人間が幼少期に言語学習を積まなかった場合、成長後に意思疎通できるレベルにまで言語を習得できるのか?」という実験が行われました。実験開始当初、ジーニーは速やかに単語を覚えることができ、幼児と同じような、2~3個の単語を使った会話も可能でした。



しかし、ジーニーの意思疎通能力は発達しませんでした。なぜならジーニーが文法を覚えることができなかったためです。



文法は、言語学者のノーム・チョムスキー氏が「人間の言語と動物のコミュニケーション方法を分けるライン」だと定義づけるほど、意思疎通のために重要な要素です。



ジーニーは、子どもが幼児期から思春期にかけて言語を習得する臨界期を過ぎてしまったため、文法を覚えることができなかった模様。



研究者の仮説では、臨界期には神経系が言語習得に敏感であり、臨界期を過ぎると言語を習得するのはほぼ不可能とのこと。手話の習得も難しいとされています。



臨界期について研究しているエリック・リネンバーグ氏によれば、言語機能は左脳が担っているとのこと。



しかし、臨界期を過ぎると脳の可塑性が失われ、新しいことを学ぶのが難しくなるそうです。



しかしながら、ジーニーは言語習得以外に、トイレを使ったり、服を着たりといった他の行動は完ぺきに習得することができたとのこと。



また、ジーニーはまわりの環境にも興味を示したそうです。



つまり、幼少期に何も学ばなかった人でも、言語以外は成長後に学習することが可能であり、年齢に関係なく観察学習を通して学習できるということです。


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