こども食堂 広がれ神戸

読書の秋・本を読む子どもたちのイラスト(カラー)


読売新聞
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◇食事提供や学習支援
 子どもたちに無料または低額で食事を提供する「こども食堂」が、神戸市内で相次いで開店している。「地域に子どもの居場所を」と全国に広がる動きを受け、民間団体が始めたものだ。神戸市も先月、食事の提供や学習、相談支援といった居場所づくりへの助成制度を創設したことで、支援の輪はいっそう広がりをみせそうだ。(上野綾香)
 「わあ、おいしそう」。
 1日午後7時過ぎ、兵庫区下祇園町のビル2階の「ひらのっ子食堂」。大人たちがテーブルにポテトサラダやピカタ、みそ汁などを並べ始めると、別の部屋で遊んでいた小学1年の女児(6)が近づいてきて跳びはねた。
 食事中、もう一人の児童に負けじと、口にほおばる一人娘をほほ笑ましく見守る母親(28)は「ここに来ると楽しそうに苦手なものも食べてくれるんです」と話す。シングルマザーで家事に追われる間は娘の相手ができず、バランスのとれた献立を毎食考えることも大変だ。「少しでも娘との時間も確保でき、本当に助かる」と言う。
 同食堂は、社会福祉法人・神戸実業学院が4月28日に開店。近くの児童館の指定管理者でもあり、突然の残業で家の食事を作れない母親を多く見てきた金子良史理事長(66)には、「手を差し伸べられないか」との思いがあったからだ。
 週3日の午後5~9時に、中学生以下100円、高校生以上300円で受け入れる。ボランティアで住民や学生も手伝う。金子理事長は「地域がつながって、子どもを支えていけるのが理想」と語る。
 同16日に長田区腕塚町に喫茶店スタッフが運営する「子ども食堂 はぐくみ」が、5月28日に兵庫区塚本通のカトリック兵庫教会内に「こどもワクワク食堂」がオープン。同食堂を切り盛りする近くの健康管理士一般指導員、榎本憲子さん(55)は「昔は近所のおばちゃんが食べさせてくれたこともある。おせっかいかもしれないけど、出来ることをしてあげたい」と言う。
 ◇
 神戸市も支援に乗り出した。ひとり親家庭を対象とした取り組みを支援する自治体が多い中、同市では対象家庭を限定せず、おおむね10人以上の子どもに週1日以上で、▽原則、平日の夕食提供▽宿題や自主学習支援▽保護者からの相談や子どもの生活支援――の三つを実施するグループに最大160万円を助成する。
 総額1800万円を確保し、3年以上の実績がある地域団体やNPO法人など15団体を想定。今月24日まで募集し、7月初旬に支援先を決める。久元喜造市長は「様々な主体によって、様々な課題を抱える子どもたちの居場所が広がることを期待したい」と話している。問い合わせは、市こども青少年課(078・322・5210)へ。
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