2016/07/25

潜在保育士 復帰に期待


読売新聞
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資格を持ちながら保育士として働いていない「潜在保育士」の再就職を支援しようと、青森市に「県保育士・保育所支援センター」が昨秋、設立された。センターの支援で6月までに27人が各地の保育現場に復帰。首都圏などへの人材流出で県内の保育士不足が顕在化しつつあり、センターによる人材の発掘に期待が高まっている。(坂本早希)


■潜在保育士1万人?

 センターは県から委託を受けた県社会福祉協議会が昨年9月から運営している。潜在保育士の再就職イベントを開き、保育士資格を持つ職員が相談に応じて現場復帰を支援している。保育の仕事を探す人が、求人やイベントの情報をまとめて得られるサイト「県保育士人材バンク」も同11月に開設。開設直後の登録者数は4人だったが、口コミなどで今年6月末には87人に増えた。

 厚生労働省によると、本県で資格を取って登録した保育士は、2014年10月時点で約1万6000人。このうち県内で働くのは約6000人で、県外で就職した人数などが分からないため、推計で6割の1万人程度が潜在保育士とみられる。

■低賃金、重労働に不満

 潜在保育士が増える背景にあるのが、低賃金、重労働などの保育現場の労働条件の悪さだ。15年の厚労省の賃金構造基本統計調査によると、保育士の月額平均給与は約22万円。全職種平均約33万円を約11万円下回る。

 また厚労省の意識調査などで、ハローワークに来た保育士資格保有者の約49%が保育士としての就業を希望しなかった。理由で多かったのが賃金や労働時間などの条件面の不満。もし、これらの問題が解決するなら保育現場に戻りたいとした人は約64%に上った。

■じわり?待機児童

 県こどもみらい課によると、4月1日時点の県内の待機児童は、11~15年には0人だったが、実は年度途中の10月1日時点では存在し、11年が1人、15年が137人と増えている。親が年度途中で職場復帰しようとしても、保育園の定員が埋まっていて預けられないケースが増えている。施設面積などに余裕があっても、園児の受け入れに必要な保育士が確保できず、定員を増やすことができない保育施設も多いという。

 背景にあるのが、首都圏などの保育需要の急増に伴う人材の県外流出だ。県内で保育士資格を取った新卒者の県外流出は02年度の約8%から13年度は約31%に上昇し、来年度は県内で655人の保育士・保育教諭が不足する見込み。県内の15年11月の保育士の有効求人倍率は2・06倍で13年12月の約2倍になった。

■都市部との待遇格差

 青森中央短期大学(青森市)の幼児保育学科では、今春卒業の80人のうち、約4割が首都圏など県外の保育園や幼稚園に就職した。同短大キャリア支援センターによると、首都圏では借り上げアパートなど安い住居を用意し、1年目から正職員として採用する保育施設も多いという。県内の保育施設は新卒を正職員としないところが多い。待遇面などで首都圏の方が学生には魅力的で、担当者は「学生の望みに応える首都圏に就職するのは必然の流れ」と話す。県保育士・保育所支援センターは「辞めた保育士の現場への呼び戻しが重要。保育の仕事に戻りたい人は人材バンクに登録してほしい」と呼びかけている。問い合わせは同センター(017・718・2225)へ。受け付けは平日、土曜の午前8時半~午後5時。
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