2016/10/29

ノーベル賞受賞者も愛読した創刊92年の「子供向け雑誌」が今も続く人気のワケ


スポーツ報知様
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 27日~11月9日は「読書週間」。今月初めに小学館が学年別学習雑誌「小学二年生」を休刊すると発表し、昔お世話になった大人たちにとっても寂しいニュースとなった。活字離れや少子化の影響は避けられない“子供誌”業界だが、1924(大正13)年創刊子供の科学で、92年の歴史を誇る長寿誌があることをご存じだろうか。誠文堂新光社の「子供の科学」(毎月10日発売、648円+税)は、歴代のノーベル賞受賞者も愛読した子供向け科学誌。13代目編集長の土舘建太郎さん(38)に、少年少女から人気を集め続けるワケを聞いた。(高田 典孝)
 「子供扱いしないこと」。創刊当時の編集主幹だった原田三夫氏が唱えたコンセプトは、もう一つの理念「本物を子供たちに伝えること」とともに「92年たった現在でも変わらない」と土舘建太郎編集長は話す。大正、昭和、平成の3時代で人気も変わらず。「発行部数は9万部で、売り上げは3~4年前から微増している」というから驚きだ。
 科学者と子供の間に入り、分かりやすく伝えることをモットーに図や写真を使い、最先端の科学技術を紹介する。「本物の科学を正しく伝えることが大事なので、難しい言葉をそのまま掲載することもあります。子供には分からないと思いますが、印象には残る。大人になって『あの時の言葉はこういう意味だったんだ』と分かってもらえばいい」
 創刊からコンセプトは変わってないが、実は10年前から「最新のニュースに関わる科学技術を取り上げるようになった」という。サッカーW杯特集では、ゴール判定の技術を紹介。五輪特集では最先端のシューズを解説した。こうした新たな方針も人気につながっていると編集長はみている。
 もう一つの柱は「体験の機会」を与えること。危険が伴う場合もきちんと説明し、子供たちに実験をやってもらうようにしている。「物を自分で作ることが大事。材料もそろえてもらうようにしている」。最新号(11月号)では、LEDを使った小型プラネタリウムの作り方を紹介した。
 果たしてきた役割は大きい。08年にノーベル物理学賞を受賞した益川敏英博士(76)は「子供の頃読んでいた」と明らかにしている。歴代のノーベル賞受賞者では「白川英樹博士や野依良治博士、小柴昌俊博士、小林誠博士も読者だったといいます」(土舘編集長)。購読体験が科学を志すキッカケになったのかもしれない。今も大学などに取材に行くと、研究者らに「愛読者でした」とよく声をかけられる。ずっと読み続けている大人のファンもいるといわれる。
 ネットやスマホ、ゲームなど子供たちを取り巻く生活環境は大きく変わった。そんな中、編集長は「創刊号からのコンセプトを貫いたことが、時代が変わっても子供たちに受け入れられているのでしょう」と分析している。
 ◆子供の科学 関東大震災の翌年、1924(大正13)年に創刊された。創刊号は同年10月号(当時50銭)。創刊した原田三夫氏は科学ジャーナリストとしても有名だった。通称は「子科」(コカ、KoKa)。戦時中も発刊。時代ごとの先端科学技術紹介や、実験、工作、発明の応援をしてきた。よく飛ぶ紙飛行機の名物付録連載は、半世紀近く続いた。
 ◆「小学○年生」は「一年生」残し休刊
 小学館は、子供向けの学年別学習雑誌「小学二年生」を2017年2・3月合併号(16年12月26日発売)を最後に休刊すると発表した。1925年の創刊から91年で歴史に幕を下ろす。
 同社広報室は「子供の趣味や好みが多様化し、必ずしもニーズに合致しなくなった」と説明。かつて小学1年生から6年生まで全学年に対応していた同社の学年別学習雑誌は「小学一年生」を残して全て休刊することになった。しかし、小学2~4年生向けには、来春、新たな雑誌を創刊する予定だという。
 「小学二年生」は、ピークの72年には発行部数110万部を超えていたが、少子化とともに下降線をたどり、最新号では約6万部まで減少していたという。同社では09年の「小学六年生」に始まり、翌10年に「小学五年生」、12年には「小学三年生」と「小学四年生」が相次いで休刊した。「小学一年生」については「これまで以上に魅力的な企画を満載して刊行を続ける」としている。
 ◆学研の科学と学習も既に休刊
 子供向け学習誌では、学研の「科学」と「学習」も人気を集めた。「1年の科学」「3年の学習」など小学1~6年の各学年に向けて、46年から段階的に発刊。販売員が家庭などを訪れ販売し、直接届けるスタイルで売り上げを伸ばした。
 「科学」の「恐竜骨格」や「金属、鉱物標本セット」などの付録も人気になり、79年には全学年合計で約670万部の売り上げを記録した。しかし、こちらも90年代から徐々に販売部数が減少していき、「学習」は09年度冬号、「科学」は10年3月号を最後に休刊となった。
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