1歳未満の子ども 就寝中に窒息死 5年で160人


NHKNEWSWEB様
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1歳未満の幼い子どもが、ベッドや布団などで就寝中に窒息して死亡する事故が相次ぎ、おととしまでの5年間で160人が亡くなっていることが、消費者庁が初めて行った調査でわかりました。多くは大人用の寝具が原因になっていると見られ、子どもの事故に詳しい専門家は「ベビー用の寝具に寝かせるようにしてほしい」と注意を呼びかけています。
消費者庁は、厚生労働省の人口動態調査に使われる調査票を基に、平成22年からおととしまでの5年間に亡くなった、1歳未満の子どもの死因を今回初めて分析しました。

その結果、ベッドや布団などで就寝中に窒息して死亡した子どもは5年間で160人に上り、事故のほとんどが家庭内で起きていることがわかりました。
事故の多くは、大人用の寝具が原因になっていると見られ、子どもが寝返りなどをした際にうつぶせになり、ベッドや布団などに埋もれて窒息するケースが目立つということです。
また、ベッドと壁の隙間に転落してしまったり、2つ並べたマットレスの隙間に挟まってしまったりして、身動きが取れなくなったケースもあったということです。
消費者庁は、大人用の寝具が幼い子どもにとって柔らかすぎることや、ベッドから転落した場合に身動きが取れなくなることなどが窒息事故につながっていると見て、調査結果を基に注意を呼びかけることにしています。
子ども目線で見ると危険なことも
引地さんによりますと、大人にとっては心地よい柔らかさの布団や、ベッドであっても、首や腰が据わっていない幼い子どもは、うつぶせになったり、寝返りを十分うてなかったりするときに埋もれて抜け出せず、窒息するおそれがあるということです。
このため、引地さんは窒息事故を防ぐためには、押してもへこまない固さのあるベビー用の寝具を使うことが重要だと強調しています。
また、「周辺の環境」についてはベッドと壁の間の隙間を例に挙げ、「大人にとっては何気ない隙間でも、赤ちゃんが転げ落ちてはまってしまうと抜け出せなくなり、命取りになりうる」と指摘しています。
そして、ベビーベッドを使うときは柵と寝具との間に隙間ができないようサイズの合った寝具を使い、おもちゃなどは置かないよう呼びかけています。
引地さんは「窒息というのは起きてしまうと数分間で致命的になってしまうものなので、埋もれない、挟まれないといった安全な環境を作ることがいちばん大切だ」と指摘したうえで、「窒息というものがこれだけ身近なところで、これだけ多く起きているんだということを、より多くの人に知っていただきたい。大人目線では全く気付かないものでも、子ども目線で見ると危険だということを今一度、確認してほしい」と話しています。
子どもが窒息しかけた母親は
箕浦さんの長女は当時生後4か月ほどで、寝返りができるようになったばかりで、和室に2つ並べた大人用の敷布団の上で、機嫌よく寝返りをして遊んでいました。
ところが、箕浦さんが隣のリビングでくつろいでいたところ、しばらくして和室の様子が何かおかしいことに気付き、様子を見に行くと、長女は2つの布団の隙間に挟まり、うつぶせの状態で顔を下に向けたまま身動きが取れなくなっていたということです。
箕浦さんは「本当にびっくりして、すぐ助け起こしました。気付くのが遅れていたり、運が悪かったりしたら窒息して亡くなってしまう状態だったと思うので、本当に早く見つけられてよかったなと思いました。まさか布団のちょっとした隙間にはまってしまうとは考えていなかったので、非常にびっくりしました」と話していました。
また、箕浦さんの友人の本川由佳さんも同じようなひやりとする体験をしていました。
本川さんの場合は、子どもが生後3か月のころ枕を使って寝かせていたところ、夜中にがさがさという音がするので目を覚ますと、枕が顔の上にあって苦しそうにしていたということです。
本川さんは「枕が顔を覆っていたので、はっと思って急いで外したら、息がしづらそうでした。気付かなかったら窒息していたかもしれず、危なかったです」と話していました。

東京都監察医務院で監察医を務め、多くの子どもの死亡事故について検証してきた引地和歌子さんは、大人用の寝具の危険性について、「柔らかさ」と「周辺の環境」の2点を指摘しています。
2人の子どもを育てている大阪・豊中市の箕浦恭子さんは8年前、当時生後4か月ほどだった長女が、布団と布団の間に挟まって危うく窒息しかける体験をしました。
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