相次ぐ子どもの薬誤飲 安全な包装容器導入を


東京新聞様
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乳幼児の医薬品誤飲事故が後を絶たない。予防の基本は保護者が注意することだが、従来のような啓発だけでは限界があるとして、子どもが開封しにくいように工夫した「チャイルドレジスタンス」(CR)と呼ばれる包装容器導入に向け、関係団体が検討を始めた。専門家は「誤飲の実態を広く知らせ、予防意識を社会全体で育てるべきだ」と指摘する。 (吉本明美)
 「中毒110番」で、誤飲の相談を全国から受ける日本中毒情報センターには、子ども(五歳以下)の医薬品誤飲の情報が年に八千件以上寄せられる。医師が処方する医療用医薬品の誤飲が増加傾向。何でも口に運び、大人のまねをする一~二歳の事故が七割程度を占め、降圧剤や向精神薬の誤飲では少量でも重症化した事例がある。
 厚生労働省などは「医薬品は子どもの手が届かない所に保管を」などの注意喚起を繰り返してきたが、誤飲は減っていない。
 昨年十二月、消費者庁の消費者安全調査委員会がCR包装容器導入の本格的な検討を厚労省に求める報告書を公表。委員会は医薬品を封入する包装シートの見本を使って開封実験を行い、子どもは開けにくいが高齢者には使用困難でない包装容器を実現できる可能性はあると結論付けた。
 子どもの誤飲防止策を研究してきた国立成育医療研究センター(東京)の石川洋一薬剤部長は「CR包装容器の製造自体は難しくないが、保護者はもちろん社会全体がCRは必要だと認識しないと普及は難しい」と話す。
 理由の一つは、大人でも慣れるまでは多少の開けにくさなどを感じること。ただ「事故を防ぐ目的の容器だと知れば、使ってもいいと考える人が多い」と石川部長は話す。
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