産経ニュース様
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□こころの診療科科長・宮崎仁医師
こころの診療科では、落ち着きがない、友達とうまく遊べない、学校に行けないなどで困っている子供を診察しています。受診する子供はとても多く、来年3月末まで予約で埋まったため、いったん受け付けを中断しています。
診療科では、2人の医師が日々、20~30人の子供を診ています。何度言っても親の言うことをきかない▽イライラしてカッとなる▽学校で問題を起こしている▽眠れない-。理由はさまざまですが、親が心配して受診を希望するケースがほとんどです。
具体的な疾患としては、ストレスが原因となって体の調子を崩す神経症があります。子供の鬱病もあります。友人・家族関係や学業で悩みを抱えているようです。
そして最も多くを占めるのが発達障害です。
治療を考える上で、正しい診断が大切です。
診療科では、医師と臨床心理士が連携して、現在と過去の状況、学校や家庭といった生活環境でのストレスを確認した上で、診断します。
「落ち着きがない」といっても、要因はさまざまです。「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」だったり、文字の読み書きが難しい「学習障害」もあります。
症状への対応として、向精神薬を処方したり、家族や学校と対応方法を考えます。勉強などで特別な支援が必要と考えられる場合は、支援学校・学級に移るように提案することもあります。
勉強の負担が小さくなり、気持ちに余裕が出る子供もいます。本人の力に合った環境を整えることが、症状の改善につながります。学校や療育機関、福祉機関などさまざまな機関と連携を取ります。
必要以上に怒られた子供は、キレやすく、暴力的になることが多いようです。悪いことをしたのにほったらかしにするのも問題ですが、子供が必要とする手助けをしながら、達成感や自尊感情を持てるようにする。自己評価が高まれば、子供はやる気を起こすものです。
本人は早寝早起きなど生活リズムを整えることに気を付けましょう。夜遅くまでゲームをしたら、朝起きれずに学校に行けなくなります。
学校であったことや、つらいことを、親に話すのも大切です。
こうした子供の診療科は少なく、ニーズに対して医療機関の数が追いついていません。医者の数を増やすことも求められるでしょう。
子供がのびのびと育ち、可能性を最大限に引き出せるよう、今後もよりよい援助を考えていきたいと思っています。