“原発避難いじめ” 両親「子どもはまだ苦しんでいる」


TBS News 様
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 福島第一原発事故で横浜に自主避難した男子生徒が、いじめを受けていた問題です。男子生徒の両親が23日、初めて取材に応じ、学校側の対応を批判した上で、「子どもは、まだ苦しんでいる」と語りました。
 「うちの子は本当にぼろぼろになった。自殺しても仕方のない内容ばかりだった」(母親)
 「学校も教育委員会も全然、対応してくれなかった。学校は私たちが田舎者だから何も言ってこないと思っていたのかな」(父親)
 いじめを受けていた男子生徒の両親は時折、言葉を詰まらせながら心境を語りました。
 「何も変わっていないというのが事実。彼も彼なりに、まだ苦しんでいるのだと思う」(母親)
 小学2年生のときに、横浜市の小学校に転校してきた男子生徒。横浜市教育委員会の第三者委員会は、直後から同級生に名前に「菌」をつけて呼ばれたり、ものさしで叩かれたりするなど、いじめがあったと認定しました。
 「いじめの重大事態として調査をしております。学校としての対応、あるいは教育委員会としての対応が不十分であったと指摘は受けている」(横浜市教育委員会、9日)
 小学3年生の6月から10月にかけては4か月間、不登校になりましたが、当時は担任がその都度、注意するなど対応にあたったといいます。小学4年生から5年生にかけて、いじめはエスカレート。「プロレスごっこ」と称して複数の同級生から叩かれたり、脚にあざが残ることもあったといいます。男子生徒は小学5年生になると、横浜駅周辺やみなとみらいの遊園地などのゲームセンターで、同級生が遊ぶ費用を全て支払うようになったといいます。
 「賠償金もらっているだろ。次のお金もよろしくな」
 要求は1回あたり、およそ10万円になることもあり、男子生徒は同級生に渡した総額は150万円に上ると話しています。
 「いままでなんかいも死のうとおもった。でも、しんさいでいっぱいしんだから、つらいけど、ぼくはいきるときめた」(男子生徒の手記)
 金品のやりとりを知った同級生の保護者から連絡がいき、学校側も事態を把握しましたが、男子生徒は2回目の不登校になり、小学校の卒業まで登校しませんでした。
 第三者委員会は学校側について「原発事故からの避難で内面的な問題を抱えた生徒への配慮に欠け、積極的に対応する姿勢が伺えない」と指摘。金品のやりとりについては、いじめと認定していませんが、いじめから逃れるためだったと推察できるとして、学校の対応について「教育の放棄に等しい」と批判しました。
 「結果に対して、こういう指摘を受けておりますので、真摯に受け止めて何をすべきだったのか、どういう責任があったのか考えていかなければならない」(横浜市教育委員会、9日)
 男子生徒の両親は23日、会見を開いた理由について、こう話しました。
 「将来ある子どもたちのためにも、少しでも配慮いただけたらと思いました。まだ、いじめに苦しんでいるお子さんもいます。そのような人たちに光を与えられたらと思い、息子もそう思っています」(父親)
 「息子は手記の中で『震災でいっぱい死んだから、つらいけど僕は生きると決めた』と書いていたが、親としても、あの言葉はすごいと思う。学校には相手を思う気持ちを教えてほしいし、今の子たちには人を思いやる気持ちを持ってほしいです」(母親)
 当時、男子生徒と接していた小学校の関係者は、JNNの取材にこう話しました。
 「自分たちとしては、当時、一生懸命頑張って、いろんなことをやっていたつもりでしたが、彼の心の奥底のことを読み取れなかった。私たちの責任は重たいです」(小学校関係者)
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