待機児童対策 「特典」で増やせ保育士 杉並、江東、世田谷区で現金や商品券支給へ /東京


毎日新聞様
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待機児童対策で保育園の新設が進む中、保育士の確保が課題となっている。施設が完成しても、保育士が足りなければ、定員通りの子どもを受け入れられない。地元に保育士を呼び込もうと、自治体が現金や商品券を支給する「特典」を設ける動きが進んでいる。
     杉並区は、区内の私立保育園で来春の採用が決まった保育士に、区内で使える商品券5万円分を支給する。新卒者や資格がありながら現場を離れている「潜在保育士」など、原則として過去3年間、保育士として勤務していない人が対象。担当者は「他区で働いている人に転職を促すことにならないようにしたい」と説明する。
     杉並区は来春、認可園などの新設で約2000人の受け入れ定員増を目指しており、新たに300人以上の保育士が必要になる。区は既存施設の採用分も含め、商品券250人分、1250万円の補正予算を組む。
     商品券の支給は、来春に約1000人の受け入れ定員増を見込む江東区も実施する。来年2月に開く就職相談会を通して採用が決まった保育士に対し「就職祝品」として1人当たり3万円分を渡す。区独自の就職相談会は初めての開催で、担当者は「どこの自治体も人材確保に苦労している」と話す。
     そもそも、保育士不足の背景には、給与の低さがある。2015年は月額平均約22万円で、全産業の平均より約11万円低かった。
     今年4月時点の待機児童数が全国最多の1198人だった世田谷区は、10月から区内の私立園に在勤する常勤保育士と看護師約2400人に対し、毎月1万円の給与上乗せを決めた。来年3月までの半年分で1億4400万円の補正予算を計上した。担当者は「一時的な支給ではなく、実質的なベースアップ」と言い、来年度以降も継続する方針だ。
     保育園の運営に詳しい「保育園を考える親の会」の普光院亜紀代表は「保育士不足の根本的な解決には、給料を上げることが必要。安心して働き続けられるようにすることが大切だ」と指摘する。【五味香織】



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