「病児保育」拡充を後押し 今治市や香川県など四国の自治体



日本経済新聞様
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四国の自治体が、病気になった子供を一時的に預かる病児保育を相次ぎ拡充している。愛媛県今治市と同県愛南町は国や県と共同で、それぞれ病児保育施設の新設費用を事業者に補助する。香川県は第2子から施設を無料で利用できるよう条件を緩和している。小さな子供がいる世帯の負担を軽減し、仕事と育児を両立できる環境の整備を後押しする。
 今治市は市内の医療機関「あおい小児科」が建物の2階を改修し、保育施設にするのを支援する。整備費用は約2000万円で、1日に最大6人を受け入れる。3月完成予定で、4月から運営を始める。利用料などの詳細は今後詰める。
 同県愛南町も医療機関「岡沢クリニック」に病児保育施設を併設するのを国や県とともに補助する。今治市と愛南町ではともに初の病児保育施設となる。
 内閣府と厚生労働省は病児保育施設の整備費の9割を国と地方自治体が補助する制度を2016年度から導入した。今治市と愛南町は同制度を使って支援する。整備費は国、県、市町が3割ずつ負担し、事業者の負担は1割に抑えられる。
 香川県は3歳未満であれば、第2子から病児保育施設の利用料を県が負担している。かつては第3子からとしていたが、対象を広げた。第3子からは未就学児まで無料で使える。「育児の負担が大きい多子世帯を経済的に支援する」(県子育て支援課)。併せて15年度末時点で18カ所だった病児保育施設が19年度末に21カ所以上まで増えるよう、補助制度の活用を促す。
 複数の自治体が連携して利便性を高める試みも広がる。松山市は愛媛県内の近隣5市町と福祉分野などで協定を結び、16年11月から協定に参加する自治体の住民が他市町の病児保育施設を使えるようにした。
 病児保育施設のない地域の親も病気になった子供を預けやすくなる。徳島市など徳島県内の11市町村でも、利用者が住む地域以外の施設を使える体制を整えている。
 自治体の支援が広がる一方、関連サービスを打ち出す民間事業者も出てきた。高知市のNPO法人「にんにん」は病児保育施設を使えない場合などを想定し、専門員を子供の自宅に派遣する事業を今月から始めた。利用料は1時間1500円。派遣する看護師や保育士ら専門員は30人。高知市とその周辺での利用を見込む。
 病気になった子供を一時的に預かる病児保育は看護と保育の役割を併せ持つ。現在は全国で2000以上の施設があるが、共働き世帯の増加でニーズはさらに高まるとみられる。政府は15年度に61万人だった利用者を19年度に150万人まで増やす目標を掲げている。
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