保育所“落選”今年も悲痛な声 需要高まり整備追いつかず


産経ニュース様
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 4月から子供を認可保育所に預けることを希望している家庭に、自治体から入所の可否を知らせる通知が届き始めている。インターネット上には今年も、“落選”した親たちの悲痛な声が続出。「退社しかないのか…」。政府や自治体は待機児童解消を目指しているが、保育需要の高まりに追いついていないのが現状だ。(三品貴志)
「退社しか…」
 「(会社から)育休延長なら子会社へ出向といわれた」「正社員だが時短制度を利用しているので(自治体の選考基準で)減点された。保育園が見つからなければ退社するしかない」
 今月5日、東京都武蔵野市内で開かれた保護者の交流会。子供を保育所に預ける「保活」に悩む約50人が窮状を訴えた。主催は、市内の親たちで作る任意団体「保育園増やし隊@武蔵野」。メンバーの一人は「『保育園落ちた』ブログが話題になり環境改善を期待したが、厳しい状態に変わりはない」と話す。
待機ゼロは困難
 厚生労働省によると、昨年4月時点の待機児童は全国で2万3553人と、2年連続で増加。待機児童の定義は自治体ごとに異なるため、集計に含まれない「潜在的待機児童」は6万7千人以上に上るとみられている。
東京都杉並区は、今年4月に待機児童をゼロとする目標を掲げ、今年度は当初の予定を大幅に上回る2329人分を確保した。
 ただ、同区の認可保育所に4月入所(1次)を申し込んだ児童数は前年より448人も多い4294人。目標が達成できるかどうかは不透明だ。
 政府も平成29年度末までの待機児童ゼロの方針を打ち出してきたが、安倍晋三首相は今月の衆院予算委員会で「非常に厳しい状況になっているのは事実」と述べ、達成は難しいとの認識を示した。
ネットで可視化
 1月以降、ツイッターやフェイスブックなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)にも、“落選”通知を受け取った保護者らの悲痛な声が書き込まれている。今年目立つのは、「#保育園に入りたい」というハッシュタグ(気になる話題を検索しやすいように付ける記号)入りの投稿だ。
 同じ悩みを多くの人で共有し、社会問題として可視化させようという試みで、3人の子供を育てる東京都武蔵野市の天野妙さん(41)が呼び掛けている。天野さんは「(昨年の)『日本死ね』というネガティブな印象の言葉ではなく、少し前向きなキーワードで訴えたい」と期待を込める。
 一方、認可保育所が“落選”しても、諦めずに「保活」を続けることを薦める関係者も。
保護者らで作る任意団体「保育園を考える親の会」の普光院亜紀代表は「2、3月は認可保育所に決まった保護者が事前に申し込んでいた認可外を辞退する時期でもある。各施設に問い合わせ、自身の状況を伝えることは有効かもしれない」と指摘。
 「さまざまな事情で自主退園する場合もあるためか、5月になって保育所に空きが生じたといういう話もよく聞く。最後まで希望を捨てないで」と話している。
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