保育士確保へ「人材バンク」 長野県、5月1日から求人・求職登録開始


産経ニュース様
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県は、再就職を望む保育士と人材を求める保育所との間を橋渡しする「県保育士人材バンク」を開設した。5月1日から求人、求職双方の登録受け付けを始める。豊かな自然の中で子供たちを育む「信州型自然保育認定制度」が平成27年度からスタートするなど多様な子育て環境へのニーズが高まるなか、保育を担う人材の安定的な確保を目指す。
 ◆3歳未満児の需要増
 県内は待機児童ゼロを維持するが、近年は働く母親の職場復帰が早まる傾向にあり、3歳未満児の保育需要が高まっている。県の調査によると、保育所の28年度入所児童数は4万8937人で5年前に比べて2085人減少した。しかし3歳未満だけをみると、1万2283人で逆に1944人増えた。
 国の配置基準によれば、保育士1人で4歳児以上は30人、3歳児は20人を担当し得るが、1~2歳児は6人、0歳児は3人しか受け持つことができない。保育士不足の余波で、施設や地域によっては年度途中の入所受け入れが困難な事例もみられるという。
 また、実際の保育現場でも円滑な人材確保への要望は強い。つましな保育園(長野市)の加藤要貴(ようき)副園長は「全体的に保育士不足を実感している。保育園の実態に合わせて常勤や非常勤などの多様な人材を集めたいが、働いてもらえる人が見つかりにくい」と話す。
 県こども・家庭課によると、県内では約2万7千人の保育士登録者のうち、実際に保育現場で働いているのは7295人(28年4月現在)にとどまる。27年度に実施した県の調査によれば、出産や子育てなどを理由に保育現場を離れた3030人のうちの45%が「保育士として働きたい」と回答しており、復職を希望する人が相当数いることがうかがえる。
 開設した保育士人材バンクは、県社会福祉協議会(長野市)に委託して運営される。保育現場で働きたい人と求人を行う保育所をそれぞれ登録し、支援専門員が両者のパイプ役となる。また再就職をサポートする研修などの情報を提供し、相談にも応じる。
 ◆資格取得後押し
 一方、新たな人材確保に向けて県は、修学資金貸付事業を昨年12月からスタートさせた。保育士の資格取得を目指す学生に学費として月額5万円以内、入学準備金と就職準備金はそれぞれ20万円以内を貸し付け、県内で5年間の保育業務を行った場合、全額を返済免除する。県こども・家庭課は「県民が安心して子供を産み育てていくには、保育所の人的な充実が不可欠。少子化のなかで保育人材の育成や確保を求める声は強まっている。さまざまな取り組みで県民の安心を守りたい」としている。
 保育士人材バンクの問い合わせは県社会福祉協議会(電)026・217・7787。
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