2017/05/23

金沢市「待機児童ゼロ」だけど… 保育士足りず 希望入所難も


中日新聞様
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求人への反応鈍く 切実
幼稚園の認定こども園化を
 
 待機児童問題が注目を集める中、金沢市内でも空き待ちや、申請を取り下げるケースが出ている。国の基準では「待機児童ゼロ」の市だが、入所難が目立ってきた。働く女性の増加で保育需要はさらに高まる見通しだが、保育現場からは「保育士が足りない」と切実な声が上がる。(小室亜希子、山内晴信)
 「入れてあげたかったけど、やむを得ない」
 金沢市西部のある子ども園の園長は顔をしかめる。三歳と一歳のきょうだいから申請があったが、一歳児クラスで必要な保育士数を確保できず、下の子だけ入所を断った。母親は下の子の申請を取り下げ、祖母に預けてフルタイムで働く。園長は「目の前に困っている人がいるのに…」とため息をついた。
 市では一次募集で三百九十一人が第一希望の施設に漏れ、二次でも百四人の受け入れ先が決まらなかった。個別調整した結果、四月一日時点で未決定は七人。特定の施設を望んでいるため、国が定義する「待機児童」には含まれない。
 このほか、祖父母に預けるなどして最終的に七人が申請を取り下げた。
市は西部地区で新しい園を公募するほか、既存施設の分園や増築を促す方針。だが、受け皿はできても保育士不足は深刻だ。
 市中心部にある子ども園の園長は、この四月から働く保育士を昨年秋にハローワークや人材派遣会社で募集したが「問い合わせすら一件もない」と嘆く。途中入所を希望する一歳児が三人いるが、受け入れできない可能性が出ている。
 ハローワーク金沢によると、二〇一二年度に一・二倍だった保育士の求人倍率は一六年度に二・〇倍に上昇。条件のよいほかの求人に流れている可能性がある。市社会福祉協議会保育部会の前田武司さんは「二十年、三十年先まで見据え、給与の引き上げと労働負担の軽減に両輪で取り組む必要がある」と指摘する。
 金沢市の保育需要 市はこれまで2017年度が保育需要のピークとみていたが、15年度の子ども・子育て支援新制度導入で入所要件が緩和されたことや、雇用拡大により女性の就労先が増えたことで各年齢の保育利用率は、市が14年度末に策定した事業計画を超えて上昇。特に母親の育児休業明けで入所を希望する1歳児の増加が著しい。区画整理事業などで宅地造成が進んだ地域で入所難が目立つ一方、空きのある施設もある。
 待機児童の問題に詳しい北陸学院大の虹釜(ごのかま)和昭教授(子ども家庭福祉論)の話 金沢市の場合、保育ニーズが一部の地域に偏っている。こうした偏在化は全国的な問題だ。ニーズが高いのは1、2歳児。今後は幼稚園の認定こども園化を進めるべきだ。少子高齢化が進む中、保育ニーズは貧困や格差の問題とも関連する。働く母親が増え、育児を外部に頼まざるを得ない状況が出てきている。
 ただ幼稚園には3歳未満児を保育するノウハウがなく、こども園化には不安もある。保育者が足りず、若い志望者がいない。保育者を増やすために報酬を見直すのは当然だ。また看護師のように、公的機関が志望者に奨学金を貸与し、保育者として一定期間働いたら返済を免除するような仕組み作りも必要と言える。
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