保育所の半数超、メンタル支援なし 厚労省研究班が調査


日本経済新聞様
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保育所の半数超で保育士のメンタルヘルスを巡るサポート体制が整っていないことが18日、厚生労働省研究班の調査で分かった。特に民営の保育所で未整備が目立った。待機児童対策では保育士の人材難や離職が問題化しており、研究班は「サポート体制整備や、業務の負担軽減策が必要」と指摘している。
 研究班は今年2~3月、全国の保育所1万650施設に郵送で調査を依頼し、ウェブ上で2672施設(回答率25.1%)が答えた。
 その結果、2016年度にメンタルヘルスケアが必要だったり、実際に治療を受けたりした保育士が1人以上いた保育所は719施設(26.9%)で、保育士が強い精神的負担を抱えている現状が分かった。
 ただ相談支援やストレスチェックなどのサポート体制が「ある」と答えたのは1084施設(40.6%)で、「ない」(1540施設、57.6%)を下回った。体制がない施設のうち「作りたい」との回答が半数超の875施設だった。
 施設の運営形態などでみると、公設公営の認可保育所は77.4%でサポート体制が整っていたが、社会福祉法人や株式会社など民営の認可保育所は25.3~37.1%と低迷した。
 16年度時点で、登園管理や保育日誌の作成などの業務負担軽減のためにパソコンなどICT(情報通信技術)を活用している施設は880施設(32.9%)にとどまり、1529施設(57.2%)がICT化していなかった。
 研究班の吉沢穣治・東京慈恵医大講師(小児外科)は「保育所は保育記録の作成や園児の健康確認などに追われ、精神的な負担も大きい。特に民営施設は中小規模が多く、十分なメンタルサポート体制が整っていない」と分析する。
 15年12月から従業員50人以上の企業はストレスチェックが義務化されたが、規模が小さい保育所は対象外。吉沢講師は「サポート体制整備を認可条件に加えたり、ICTによる業務効率化を推進したりして、保育士の精神的負担を減らすことが必要だ」と指摘している。
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