保育士に心のケア必要27% 全国施設調査


中日新聞
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 待機児童解消に向け保育士の確保が課題となる中、全国の保育所や認定こども園のうち、精神的ケアが必要な保育士がいる施設が27%に上ることが二十五日、厚生労働省研究班の調査で分かった。全体の58%で相談窓口やストレスチェックなどのサポート体制が整っておらず、公立の施設に比べ、民間で対応の遅れが目立った。
 政府は「二〇二〇年度末までに待機児童ゼロ」との新たな目標を掲げ、保育の受け皿を大幅に拡充する方針。保育士は小さな子どもの安全を守る心理的重圧や、保護者を含む人間関係での悩みを抱えやすく、賃金などの待遇改善とともに心のケアが急務だ。
 調査は今年二~三月に実施。全国の保育所(認可外を含む)や認定こども園など約一万の施設を無作為抽出し、二千六百七十二施設から回答を得た。
 施設責任者への質問で「精神的、心理的負担のサポートが必要と感じたり、実際に治療を受けたりした保育士がいる」と答えたのは七百十九施設(27%)。該当する保育士は「一人」が最多の五百二施設で、「五人以上」も八施設あった。
 サポート体制の有無については、千五百四十施設(58%)が「ない」と回答。運営主体別に見ると、公立認可保育所の77%が「ある」としたのに対し、民間保育所などその他の施設は25~41%にとどまった。
 保育士(三千四百五十七人)に過去一年間の精神的負担を聞いたところ、「先輩や同僚に相談した」(56%)、「誰にも相談できない」(12%)など、多くが悩みを抱えている様子がうかがえた。「保育士として今の職場で働き続けたい」とした人は55%。一方、「就業条件の良いところがあれば移りたい」は22%、「保育士として働きたくない」も7%あった。
 研究班の吉沢穣治・東京慈恵医大講師は「小規模施設ではメンタルヘルスに対応しきれないこともある。自治体が認可外施設の相談を担うなど、行政の支援も必要ではないか」と指摘している。

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