待機児童解消へ自治体苦心 入所選考の透明性確保も

待機児童のイラスト
京都新聞様
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認可保育所などに入れない「待機児童」の問題は、京都府山城地域でも深刻な状況が続いている。宅地開発で人口が増えている自治体もあり、保育士の獲得競争も生じている。きめ細やかな対策も求められており、各自治体に現状と取り組みを聞いた。

 京田辺市は、保育士の大量離職などを受け、昨年4月は府内最多となる140人の待機児童が生じた。今春は正職員を25人増やし、4月時点での待機児童数はゼロになった。

 ただ本年度も、年度途中の入所希望は続くとみており、保育士数は「余裕はない」(子育て支援課)。臨時職員の実績加算や一時金を導入してPRするとともに、今年2月に開いた保育士対象の「就職フェア」を6月も開き、人材確保を急ぐ。

 他の自治体はどうか。「近隣自治体に保育士が移った」「内定の辞退があった」と明かす自治体もあり、保育士の取り合いになっている。

 精華町は、雇用対策協定を結んだ京都労働局と共催し、一般企業と福祉職場の合同就職説明会を初めて開催する予定。木津川市や宇治市、城陽市もそれぞれ府と連携して就職フェア開催を検討している。ただ、資格を持っていても働いていない「潜在保育士」の掘り起こしがどれだけできるかは不透明だ。

 一方、同じ自治体内でも地域間で保育ニーズに偏りがあり、きめ細やかな対策が求められている。

 宇治市は、認定こども園や保育所、0~2歳児向けの小規模保育(6~19人)、保育者の居宅などで行う家庭的保育(5人以下)の定員をそれぞれ増やし、2年ぶりに待機児童はゼロになった。

 今回初めて全体で定員割れとなったが、自宅や職場近くなど希望した保育施設に入れない子どもも多かった。宅地の多い市内中心部で保育ニーズが高まっているとみられる。市はニーズの把握と、保護者への選択肢提示のために本年度、妊娠期から子育て期まで相談に応じる「子育て世代包括支援センター」を立ち上げた。

 木津川市も「保育コンシェルジュ(案内人)」制度を設けて子育て相談に応じるとともに、市内のニュータウンで小規模保育施設の整備を目指している。

 入所選考の透明性を図るため、選考基準制度を採用する動きもある。就労時間や疾病、介護などで分類した「基本指数」から、条件に応じた点数の増減を計算し、持ち点の高い順に入所を決める。

 木津川市は町制時代の2003年に導入、京田辺市は本年度入所希望者から実施し、宇治市も来年度実施に向けて制度設計を進めている。

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