待機児童 前年比244人減372人に 保育士確保が課題 /福島

毎日新聞様
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保育所などに入れない待機児童について4月1日現在(速報値)で県がまとめたところ、待機児童数は372人で、過去最多だった前年同期から244人(39・6%)減った。県内59市町村のうち待機児童がいるのは12市町村で、3市町村減った。待機児童数が県内最多だった福島市は112人へと半減。会津地方(17市町村)には待機児童がいなくなった。保育所の整備が進んでいることが要因だが、保育士の確保が新たな課題となっている。【岸慶太】

 待機児童数が最も多いのは、福島市の112人(前年同期比111人減)で、南相馬市64人(同26人減)、郡山市45人(同19人減)が続いた。喜多方市と会津坂下、矢吹、棚倉3町は待機児童がゼロになった。

 福島市は保育士の確保策を強化。市立の認可保育施設で働く正規職員の保育士8人を追加採用したほか、嘱託保育士の給与を引き上げることで、2016年度末に31人もいた退職者を、昨年度末は13人に抑えた。市は施設の建物を増改築して認定子ども園に移行するなどし、現在の施設定員(4480人)を、来年4月に531人増やす方針。市は「働きやすい環境の整備や負担軽減によって保育士の確保を最優先に進め、待機児童ゼロを早期に達成したい」と話している。

 棚倉町は、昨年度に15人いた待機児童を解消した。町内に二つあった保育園の統合で新園舎が完成し、定員が10人増えた。さらに、町内に4カ所ある幼稚園の全てで3歳児の預かりを始め、保育園の受け入れに余裕ができたという。

 逆に、昨年4月は待機児童ゼロだった新地町は14人に。全員、保育士に高い技能が必要な2歳児以下だ。東日本大震災後、民間・町営アパートへの若者世帯の移住が進んだ。これらの世帯は共働きが多く、子どもが小さいうちから保育を必要としているが、保育士が不足している。町は若者の定住促進を進めており、「待機児童が発生している状況は移住を阻害しかねない。保育士の賃金見直しや学生へのPRを進め、優秀な人材を確保したい」と話す。

 県内の待機児童数は現在の調査方式になった15年度が401人、16年度が462人だった。17年度は全都道府県で10番目に多かった。今年度分は全国順位が発表されていない。

 県は19年度末までに県内の待機児童数をゼロにするとの目標を掲げている。今年度は2歳以下を預かる小規模保育所の整備費の最大半分を補助する制度を設けた。保育士の確保のため、中高生に保育士の仕事を体験させる取り組みも進める。

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