保育士不足、深刻に

大分県のキャラクター
大分県内ニュースさま
------------------------------------------------------------------------------------------------

保育施設の9割が保育士の確保に苦労し、半数の施設は求人が埋まらない―。県内の保育園などを対象に「現場の声」を聞いた県のアンケートで、深刻な人手不足の実態が浮かび上がった。人材確保が喫緊の課題として県は本年度、「保育現場の働き方改革研究会」を設立。実情を把握しながら、働きやすい職場環境づくりを検討していく。

 アンケートは今年4、5月にインターネットで実施。保育所や認定こども園など186施設と保育士614人から回答を得た。

 人材確保にはほとんどの施設が苦慮しており、91%(170施設)が「確保しにくい」ことに悩んでいる。昨年度は128施設が421人の求人を出したのに対し、採用できたのは半数ほどの227人。70施設は希望する人手が集まらないまま幼児を預かる状態が続いた。

 現役保育士541人の63%(344人)は時間外労働が月平均10時間未満だった。半面、過去3カ月の間で「自宅に仕事を持ち帰って作業したことがある」と答えたのは71%(385人)に達した。悩みや不満の原因は「給与・手当」(52・9%)が最も多く、次いで「有給休暇を取ることができない」(32・5%)、「仕事と家庭の両立」(23・7%)が多かった。

 過去1年間で離職者がいた施設は半数を超え、いずれも就職後3年未満が目立つ。離職経験者234人の辞めた理由は出産・育児(45・3%)、結婚(38・0%)、職場内の人間関係(19・2%)の順だった。

 6月25日に大分市内であった研究会の初会合には、こども園長や保育士、大分労働局の担当者ら委員9人が出席。県がアンケート結果を報告した。

 意見交換では「きつい、給料が安い、早く帰ることができない―というマイナスイメージが定着している」との厳しい指摘も。「クラスは担任制のため同僚に頼りづらい」「ICT(情報通信技術)化など変化を嫌がる傾向がある」といった課題を共有した。

 今後は保育無償化でニーズの高まりが予想され、保育士のさらなる確保が急務となる。研究会は離職防止や就職促進に向けた対策を検討。年度内に計5回の議論を重ねて報告書をまとめ、2019年度の施策につなげていく方針だ。県こども未来課は「希望を持って働ける職場になるよう課題を整理し、具体的な改善策を模索していきたい」と話している。

------------------------------------------------------------------------------------------------