「子ども療養支援士」 養成実習スタート





毎日JP
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◇病児の不安に寄り添う

病院で治療を受ける子どもや家族を精神的にサポートする
「子ども療養支援士」の養成実習が今年4月、
東京と大阪でスタートした。
保育士や看護師などから転身を図る女性など4人が選ばれた。
なぜ今、子どもに特化した療養支援士が
必要なのかを探ろうと、実習現場を訪ねた。

 ■治療へ心の準備

専門職が国内で活動し始めてから約10年が過ぎた。
人数は30人程度に増え、
医療現場での認知度は徐々に高まっている。

期待される大きな役割が、遊びを通して築いた信頼をもとにした
治療への「プレパレーション」(心の準備)と
「ディストラクション」(気分転換)だ。
ぬいぐるみを患者に見立ててベッドに寝かせ、
お医者さんになりきる遊びで治療や手術の意味を伝えたり、
検査内容を手作りの絵本や写真で見せて、
子どもが抱える不安を解消させていく。

実習生の1人は看護師時代、医療側の多忙な任務と
子どもや家族の心情を思うはざまで悩んだ。
親から引き離し、検査優先で心のケアをする間もなく採血。
終わった後で「ごめんね、頑張ったね」と
なだめるのが精いっぱいだった。
そんな時、海外留学が壁となりあきらめていた
「子ども療養支援士」 研修の日本版がスタートすることを知り、
転身を決意した。

実習で体験した採血の現場は、「驚きの連続だった」という。
小さい子はコアラのように親の胸に抱かれていた。
年齢の高い子には、「腕を動かさないと採血しやすいよ。
腕を動かさずに、血管を探させてあげようね」と声をかけていた。
いわば、子ども版のインフォームド・コンセント(治療の同意)だ。
「痛い」と顔をしかめる子もいたが、
子どもが泣き叫ぶ場面は、まったくなかった。

 ■「国家資格めざす」

保育士出身の実習生は「医療の素人」を強みに
患者や家族に寄り添っていきたいと考えている。
自身の母親が入院した時、長引く看病のしんどさを
周りに悟られないよう気を張って疲れた経験もあり、
「集団生活で社会性を育てる保育士とは役割が違う。
子どもや親が、泣いたり怖がったり
素直な気持ちを出せる環境を大事にしたい」と語る。

現状では、支援士の活動に診療報酬がつかないなどの課題もある。
だが、国の小児がん対策に関する専門委員会がまとめた報告書では、
支援士のような職種の人材を育てる必要性が指摘された。
国も協会の取り組みを注目している。

協会は育成目標3000人を掲げ、
将来的な国家資格化も視野に入れている。
協会の事務局長は「よりニーズを掘り起こすべく、道を作りたい」。
秋には第2期生募集が始まる。

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