幼保一体化のメリットは?保護者の選択肢増


産経ニュース
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幼稚園と保育所を同じ施設や
敷地内で運営する「幼保一体化」。
政府の「子ども・子育て新システム検討会議」の
中間報告では、現状の幼稚園や保育所も残したうえで、
幼保一体施設である「こども園」を平成25年度をめどに
本格導入することとした。
幼保一体化になることで保護者や子供に
どんなメリットがあるのか。
千葉県船橋市の夏見台幼稚園・保育園を取材した。


同園は「認定こども園」ではないが、
保育および教育を一体的に提供している施設。
保育所はゼロ歳、幼稚園は3歳からの入園になる。
入園手続きは保育所と幼稚園で異なるが、
入園してしまえば子供は保育所・幼稚園に
関係なく、一緒に遊ぶ。

同園の幼稚園には、普通の幼稚園と同じように
午後2時まで預かるAコースと、
保育所と同じ保育時間(午前7時~午後6時、
時間外保育は午後8時まで)のBコースがある。
園主は「フルタイムで働いているお母さんの中には
『子供は保育所ではなく幼稚園に入れたい』という人もいる。
また、幼稚園の利用者にも午後2時までだと、
友達と遊ぶ時間が短いと感じている人もいる。
幼保一体化したことで両方の
希望をかなえることができた」と説明する。

保育所との違いは、Bコースには日替わりで
「スイミング・英語・体育・音楽指導・認識遊び」
のカリキュラムがあること。
保育所の子供も希望すれば英語と体育は別料金で
受けられるが、スイミングなどはだめ。
このため、保育所で入園した子供が3歳になったとき、
Bコースに変更することも可能にしている。

ただ、同園でこれまでに保育所から幼稚園に
変更したのは60人中2人だけ。
「Bコースの保育料は約7万円。
保育所と別に習い事をすれば同じぐらいかかるといえるが、
高額と感じる人もいるかもしれない。
習い事より子供同士で遊ばせたいという考えの保護者もいる。
結果的に幼稚園を選ぶ保育所保護者は少なかったが、
選択の幅が広がった意味は大きいのでは」と園主。


幼稚園から入園する子供にとって、
幼保一体化施設で過ごすメリットはあるのだろうか。
午後のお昼寝の時間。眠れなくて騒ぎ始めた年中の子に、
年長の子が「赤ちゃんが寝てるから静かに」と注意した。
園長は「3歳から入園する幼稚園では、
3歳以上の子供がゼロ歳や1、2歳の子供と遊ぶことはない。
ゼロ歳から6歳までの子が一緒に過ごすここでは、
大きい子は小さい子の面倒を見る、
小さい子は大きい子を目標にしてがんばるなど、
お互いに良い刺激を受けながら成長する」と話す。

メリットも多い幼保一体化だが、
一方で利用者負担の増加や、
基準緩和で運動場のない施設が増える可能性なども指摘される。
さらに、新制度に必要な財源は27年度で1兆円とされ、
これをどう確保するかが課題となっている。
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