四国新聞社様
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児童虐待の増加が止まらない。
2010年度の全国の児童相談所による虐待相談対応件数は、
5万5152件(宮城県、福島県、仙台市を除く)と、
10年間で3・1倍に増えた。
一方、虐待を担当する児童福祉司は、
2477人で1・9倍にとどまる。
件数増加の背景として、児童虐待防止法(00年成立)の影響で、
子どもに身近な教育、医療、福祉関係者に限らず、
市民にも通告義務が定着してきたことも大きい。
児童福祉司の仕事は、虐待を含む養護、障害、非行、育成、
保健の各相談など幅が広い。
なかでも虐待は、子どもの命に関わりかねないだけに、対応が難しい。
総務省が児童福祉司を対象にした意識調査(10年)によると、
必要な人員への回答は「3倍程度」が20・6%で
「2倍程度」が43・4%だった。
仕事量の増大と人員不足から、現場の疲弊を訴える声は少なくない。
専門性の向上も大きな課題。
児童福祉司の専門職での採用は、自治体間でかなりばらつきがある。
総務省の意識調査では、虐待ケースで適切な判断ができるには
「5年以上の経験が必要」が3割を超えた。
数年単位で他部署に異動してしまう繰り返しでは、
専門性の確保は至難の業だ。
児童虐待防止法の改正などで、
児童相談所の虐待対応は権限が強化されたが、
人員不足の解消や専門性の確保が追いつかないままでは、
現場でうまく生かしていくのは難しい。
そのしわ寄せは、救うべき子どもが受けることになる。
児童福祉司の拡充が急がれる。
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