子ども手当、10月からどう変わった?

読売新聞
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◆3歳までと第3子以降は月額1万5000円支給

子ども手当の制度の変化を実感していただくために、

まずは9月までの子ども手当を説明します。
9月までの子ども手当は、「お子さんの年齢」や
「出生順位」に関わらず、中学生までのお子さん1人につ
き月額1万3000円が支給されていました。
年齢に関する支給額の変化はないので、
わかりやすい制度といえたでしょう。

これに対し10月からの新制度では、
「お子さんの年齢」や
「出生順位」によって、支給額が異なる制度になりました。
支給額を年齢で整理しますと、年齢区分は下記のようになり、
支給金額をまとめると表のようになります。

・0歳から3歳未満(3歳の誕生月まで)

 ・・・月額1万5000円
・3歳の誕生月の翌月から小学校を卒業するまでの第1子と第2子

 ・・・月額1万円
・3歳の誕生月の翌月から小学校を卒業するまでの第3子以降

 ・・・月額1万5000円
・中学1年生から3年生の3月まで

 ・・・月額1万円


子ども手当の月額支給額
3歳未満 3歳から小学校卒業まで 中学生
1人目・2人目 1万5000円 1万円 1万円
3人目以降 1万5000円 1万5000円 1万円


 
◆年少扶養控除廃止で「実質マイナス」のケース増

10月からの新制度では、3歳未満のお子さんと

第1子以降の小学校時代までは、
ひと月2000円ほど支給額が増えました。
ちなみに第1子以降の数え方は、18歳未満
(高校を卒業するまで)のお子さんの人数で数えます。
たとえば20歳、14歳、11歳の3人のお子さんがいる
ご家庭の場合、14歳のお子さんを第1子、
11歳のお子さんを第2子と数えます。
子ども手当の制度では、該当するお子さんは
2人(しかいない)とみなすわけです。

3歳未満のお子さんの支給額を増やしたのは、

子ども手当の前制度である児童手当が、
3歳未満のお子さんに月額1万円を支給していたことによります。
加えて児童手当の時代は、15歳以下のお子さんが所得税で
38万円、住民税で33万円の年少扶養控除も使えていました。
子ども手当の導入と引き換えに年少扶養手当が
廃止になってしまったため、3歳未満の支給額を
月額1万円に下げてしまうと、児童手当の時代と
「見た目の支給額は同じ」でも、「増税の分だけ損する」
ことになってしまいます。
そこで、児童手当のときに支給額の高かった
3歳未満(第3子以降も)のお子さんと、
3歳以降のお子さんの支給額に差を付けたわけです。

とはいえ、月額2000円ほど支給額がアップしても、

実は増税の影響の方が大きいご家庭が多い現実も見逃せません。
たとえば年収300万円で、
お子さんが1人のご家庭でも、年少扶養控除の廃止による
増税の影響は、所得税と住民税を合わせて
ひと月4000円を超えます。年収が500万円になれば、
増税額はひと月5000円を超えます。
目先の支給額が増えても、
実質の手取り額は減ってしまうのが現実です。

ただし、2011年度は所得税だけの増税で、

住民税の増税は来年6月からになります。
そのため今年度に限っていえば、3歳未満と第3子以降の
お子さんのいるご家庭では、支給額がアップしたことで
少しの間だけ有利(手取りがプラス)になったご家庭もあるという、
非常に複雑で、わかりにくくなっているというのが、
子ども手当を取り巻く状況です。

◆支給月は変わらないが、来年2月の支給額は変わる

 一方、10月以降も変わらないのは、

支給月が6月、10月、翌年2月の年3回だということ。
そして支給月には、前月分までの4か月分が
まとめて支給されることです。

たとえば第1子の小学生の場合は、

来年2月に4万円が支給され、第3子の小学生は
来年2月に6万円が支給されます。
第3子以降であっても、お子さんが中学生になると
4か月分で4万円に減額されるほか、上のお子さんが
18歳を超えた(高校を卒業した)ことで、
それまで第3子以降に該当していたお子さんが、
第2子などに繰り上がるケースも出てくることにも、注意が必要です。

今後の子ども手当の制度改正としては、

2012年度以降は所得制限が導入される可能性もあります。
所得制限が導入されて、子ども手当がもらえなくなるご家庭が
出てくると、手当はゼロになる上に、
増税の影響だけを受けることになってしまいます。
そこで所得制限の導入が検討されるとともに、
支給されなくなるご家庭への救済策も
同時に検討されているようです。
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