放射線:「ホットスポット」続出の首都圏 秋の遠足に影響

落ち葉で遊ぶ子ども。見守る祖母(右)は「毎年拾い集めていたけど、今は放射線が心配なのであまり触ってほしくない」=東京都葛飾区の青戸平和公園で、黒田阿紗子撮影
毎日jp
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放射線量が局所的に高いホットスポット」が
相次ぎ見つかっている首都圏で、
小学校や幼稚園の秋の遠足などに影響が出ている
山里や公園の落ち葉に
放射性セシウムが蓄積しやすいとされるためだ。
開催か、中止か、学校により判断が分かれ、
保護者に戸惑いが広がっている。

東京都中央区は2日、
千葉県柏市にある区立の教育施設「柏学園」の
利用中止を決めた。
今月の調査で敷地内の雨どいや側溝から
最大毎時2.13マイクロシーベルトを検出したためだ。

柏学園は約4万6000平方メートルに
宿泊施設や運動場がある。
樹木観察やキャンプファイアを通して
子供たちが自然を体験するのが目的で、
全区立小の4年生が2泊3日で利用。
毎年秋には小学校と幼稚園の児童が
イモ掘り遠足に訪れる。

区教委は8月に施設内の放射線量を調査。
芝を刈り取った運動場の中央で
国の除染対象(毎時0.23マイクロシーベルト以上)より
低い0.22マイクロシーベルト、
イモ畑からは最大270ベクレルと、
土壌の目安とされる1キロあたり5000ベクレルの
約18分の1の放射性セシウムを検出した。
区教委は9月、「安全性に問題はない」と判断し、
例年通り行事を実施するよう各校に伝えた。

ところが保護者から「本当に大丈夫か」などの
声が相次ぎ、1校1園は自主判断で
10月のイモ掘りを中止。
他校は実施したものの、
焼きイモ作りで落ち葉を燃やしたことに
近隣住民から苦情があり、
急きょ福島第1原発事故前に
剪定(せんてい)した薪を使った。

イモ掘りを実施した小学校に
長女を通わせる母親(42)は学校の説明に
疑問を持ち、当日は「具合が悪い」と欠席させた。
長女は「私だけ行かないのはイヤ」と泣いたが、
翌日登校すると、
他にも欠席したクラスメートがいたので
ほっとしていたという。
母親は「運動場だけでは測定が足りない。
もっと細かい検査をしたり、場所を変更するなど、
全員が安心して参加できる
安全対策を考えてほしかった」と話す。

一方、同じ柏市に
同様の施設を持つ文京区は9月、
専門家と敷地内十数カ所の放射線量を測定。
体育館裏の軒下で最大1.04マイクロシーベルトを
検出したが「長時間滞在させないよう注意する」
として、例年通り小学4、5年の移動教室を行った。
区教委は保護者に
「課外授業ではないので、
病気など特別な理由がない限り、
参加してもらうしかない」と理解を求めたという。

行事自体を変更する動きも。
葛飾区の私立青鳩幼稚園は
例年11月に都立公園に遠足に行き、
落ち葉や木の実を拾うが、今年は動物園に変更した。

東京慈恵会医科大の准教授(小児科)は
「安全と安心は別なので、
学校側は保護者にできるだけ詳しい情報を開示し、
行事に参加するかどうかの判断を仰ぐべきだ」と話す。
一方で「放射能への親の過度な不安は
子どもの情緒に影響を及ぼしかねないことにも
留意する必要がある」と指摘する。
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