児童の虐待死、大阪府が全国最多…読売新聞調査


yomiurionline
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2008年~11年6月の3年半に、
大阪府は、児童虐待による死者数が15人と
全国最多だったことが読売新聞の集計でわかった。

東京10人、神奈川、埼玉各9人、愛知8人など
大都市圏が続く。
人口規模も大きい地域だが、
専門家は「都市部は地域のつながりが薄く親子が孤立し、
虐待が起きやすい」と指摘、
積極的な介入支援を求める。
11月は児童虐待防止推進月間で、
啓発行事や相談の呼びかけなどが全国で行われる。

警察庁や都道府県警の統計を分析した。
この3年半に虐待死した子供(18歳未満)は
全国で120人にのぼり、
70~90%0~5歳に集中していた。
都市部の犠牲者が多いのと反対に、
鳥取、島根など12県で死者がゼロだった。

けが人などを含めた被害者の総数
全国で1190人で、これも大阪が91人で最も多く
埼玉79人、神奈川77人が続いた。

大阪は、100万人あたりの死者数は1・7人で、
宮城(2・14人)、京都(1・9人)に次ぐ。
被害者数も、08年17人(うち死者3人)、
09年31人(同3人)、10年31人(同7人)、
今年上半期12人(同2人)と常に全国上位だ。

09年には大阪市西淀川区で、
暴行や食事制限などを受け、
ベランダに放置された当時9歳の女児が衰弱死。
同市西区で昨年、
当時3歳と1歳の姉弟が自宅マンションに
放置され餓死するなど社会に衝撃を与える事件が相次いだ。
そのたびに、おかしいと感じる近隣住民がいながら
早期通報に至っていないことが指摘された。

大阪府家庭支援課は
「地域の見守りが薄れるのは都市部の特徴。
虐待を見逃さないよう親子を支えることが必要だ」とする。
今年2月に府の責務を明確にした
「府子どもを虐待から守る条例」を施行。
育児支援を通じて子育て家庭に身近に接する市町村に対し、
今年度から経験豊かな児童相談所OBの派遣を始めた。

大阪市も、夜間の緊急通報に即応するため
職員を宿直させたり、迅速に安全確認に向かうため、
消防に出動を要請したりしている。

関西学院大教授(児童福祉論)は
「大阪は生活保護を受ける人が多く、
経済的困窮で親が余裕を失って
育児ストレスを抱えている可能性もある。
地域からの孤立を防ぐには
家庭への訪問を増やすなど、
『おせっかい型』の支援を強化すべきだ」と話す。
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