虐待の親に同情3割 西日本新聞が保護者調査


西日本新聞
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西日本新聞は、
子育て世代が児童虐待にどのような意識を持ち、
いかなる支援を求めているかを探ろうと、
福岡市内の母親たちを対象にアンケートを行った。

591人から回答があり、相次ぐ虐待死事件について
全体の3割近くが
親にも同情すべき事情があったかもしれない
自分も加害者になるかもしれない」と回答。
事件が人ごとと思えないほど、
多くの親が厳しい養育環境に置かれている現状をうかがわせた。
一方、相談先として
「同じ悩みを抱えた親の自助グループ」を挙げる回答が
全体の半数以上に上り、
悩みを共有できる存在を求めている意識が明らかになった

アンケートは福岡市内の認可保育所に
子どもを通わせる保護者1312人を対象に実施。
45%が回答した。回答者の内訳は94%が母親で、
共働きが8割近くを占め、ひとり親も約1割いた。

子どもに体罰などをした経験を複数回答で聞くと、
全体の4割が「感情にまかせてたたいたりした」と答えた。
「傷つく言葉や存在を否定することを言った」は36%で、
「食事を与えなかったり長時間放置した」は1%。
だが「過去に虐待をした自覚がある」と答えた親は
全体の2割弱にとどまり、
虐待の受け止め方が人によって異なることがうかがえた。

「虐待死事件をどう思うか」との問いには、
「ひどい親だ」(36%)が最多で
「周囲の人で防げなかったのか」(25%)と続いた。
一方、「親にも同情すべき事情があったかも」(22%)、
「いつか自分も加害者になるかも」(5%)と、
親側に理解を示す回答が3割弱いた。

また、「自分も加害者になるかも」と
答えた29人のうち7割が「感情にまかせて体罰をした経験がある」
としたのに対し、
「ひどい親だ」と批判的だった210人では
体罰経験は36%と、大きな差が出た。

相談先として必要または有効と考える機関」(複数回答)
については、
同じ悩みを抱える親の自助グループ」が5割超で最多。
「親身な子育て相談員」と「
専門家が答えるインターネット掲示板」もそれぞれ3割を超えた。

「子育てに困ったら誰を頼るか」を複数回答で尋ねると
、8割超が「親」で、「友人」が5割超。
「保育2所や小学校」が3割超と続いた。
一方、「区役所や児童相談所」は5%にとどまった。
「頼る人がいない」「誰にも頼りたくない」も計3%おり、
孤立した環境で養育している親の存在が浮き彫りになった

■調査の方法
10月下旬-11月上旬、
福岡市保育協会の協力を得て、
市内の認可保育所10施設に通う
園児の保護者1312人を対象にアンケート用紙を配布。
西日本新聞への直接郵送で
591人から回答を得た。回収率は45%。
回答者の年齢は、
20代14%▽30代65・5%▽40代18・6%
▽50代以上0・2%▽不明1・7%。
園児との関係は、母親94・2%▽父親3・6%▽無回答2・2%。
また、回答者の77・2%は共働きで、
12・4%がひとり親世帯だった。
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