保育園民営化に保護者反発…東京・東久留米市



yomiurionline
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溝埋まらぬまま事業者公募へ

東京都東久留米市が進める
「みなみ保育園」の民営化に、
保護者が「保育士が代わるのが心配」などと
猛反発している。

市は保護者の理解を求めつつも、
来月にも事業者を公募する姿勢を崩していない。
厳しい財政下で民営化に取り組む自治体は多いが、
訴訟に至った事例もある。
「保護者の不安を解消するため、
時間をかけて理解を得ながら進めることが大切だ」
と専門家は指摘する。

「財政のしわ寄せがなぜ子どもたちにいくのか」
「40年間の保育の歴史を断ち切るのは
市の財産をなくすこと」
「いったん民営化をストップして」

9月30日に開かれた説明会には、
約100人が参加。
用意された椅子に座れない人が
会場からあふれるほどだった。
保護者の激しい反発の声に対し、
市長は「民営化のスケジュールは変更できない。
事業者の募集要項に保護者の意見を反映させ、
質の高い社会福祉法人を選ぶ」などと説明。
終始「ぜひご理解いただきたい」と繰り返し、
話し合いは平行線のまま、閉会した。

政府が行った三位一体の改革に伴い
2004年度から公立保育所の補助金が廃止され、
一般財源化された。
施設整備交付金についても
06年度から私立保育園のみが対象となり、
公立保育園の運営は自治体にとって
負担の大きいものとなった。

こうした流れを受け、
市は08年、みなみ保育園の民営化を決定。
同園が1階に入居する都営住宅の
建て替えに合わせ、同じ敷地内に園舎を建設し、
14年4月、民設民営で移転させることにした。

同市によると、園児1人当たりの市負担額は
私立に比べ、平均で年間約72万5000円高い。
現在定員90人のみなみ保育園が
民設民営になった場合、
人件費などの運営費は、
年間で約6525万円削減される試算だ。
市は、保育園を運営する事業者を
社会福祉法人に限定し、
11月から公募を始める。

市は事業者選定のため、
学識経験者や保育園園長などを交えた
選定委員会を設置する予定。
民営化後、常勤保育士の8割が
保育経験をもっていること、
園長については40歳以上で、
園長または主任保育士として
5年以上従事した経験者になるなどと説明している。
一方、現在働いている
正規雇用の保育士については
民営化後、別の公立保育園に異動する見込みで、
臨時雇用の保育士については、
移管先の事業者に極力、
雇用してもらうよう要請するとしている。

今後、民営化の中身が具体化していくが、
保護者側は「家族同然の保育士が
いっぺんに代わってしまうのは、
子どもにとって大きな負担」
「どんな事業者が選ばれるかわからず
保育の質が保たれないのでは」と
不安を募らせている。

保育園の民営化問題に詳しい、
「保育園を考える親の会」の代表は、
「保護者が納得していない状況で
無理に民営化を進めれば、
事業者との信頼関係を損ない、
後々禍根を残す恐れがある」と憂慮する。
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