子どもの病気 食物アレルギー:2年かけて牛乳飲めた


朝日新聞
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国立病院機構相模原病院での治療が始まった
神奈川県の女性(44)の次男(12)は、
成長につれ食べられる食品が増えたが、
牛乳や卵は駄目だった。

病院では5年前から研究的な治療法として、
アレルギーの原因となる食品を少しずつ食べさせ
耐性をつける「経口免疫療法」を始めていた。
3年前、主治医(41)が次男にこの療法を紹介した。
「おれ、絶対にやる」。1人だけ違う給食は、もう嫌だった。

8月、入院しての治療が始まった。
牛乳4ccから始め、2日目には120ccまで増えた。
症状は出なかった。3日目には目標の200ccを飲んだ。
やや呼吸が苦しくなったが、10日後に退院するまで飲み続けた。

この療法は退院後も毎日、牛乳を飲み続けなければならない。
牛乳の味が嫌いな次男は、
お菓子でごまかしながら30分かけて飲んだ。
ときにはショック症状が出て病院に運ばれた。

耐性が出来たかどうかは、
3カ月間症状が出ないことを確認後に、牛乳を2週間中断。
再び飲んでみて反応を調べる。
治療開始から1年後の一昨年7月、
確認のため牛乳を飲んだが呼吸が苦しくなった。駄目だった。

主治医 「残念だけど、またがんばろう」と励ました。
次男は次の日から再び、牛乳を飲み続けた。
少しずつショック症状も軽くなり、
昨年6月、「完全解除」のお墨付きが出た。

その日の晩、次男は布団の中で泣いてしまった。
「ここまで来られたというパパやママへの感謝と、
もう毎日、嫌いな牛乳を飲まなくてもいいから」

だが、期待していた「みんなと同じ給食」にはならなかった。
完全解除でもまれにアレルギー反応が出ることがあり、
学校が対応できないためだった。

10月の修学旅行も欠席した。
旅館がアレルギー対応食を用意できないため、
自宅から宅配便で送った食事を食べねばならないことに、
耐えられなかった。

それでも、毎晩のアイスクリームとソフトボールという楽しみがある。
アイスクリームを初めて食べたとき
「こんなにおいしい物があるのか」と驚いた。
1年生から続けてきたソフトボールは、
主将を任されるまでになった。
「ソフトがあったから、アレルギーとも闘えた」
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