子どもたちの睡眠時間は100年前から足りていない=研究


THE WALL STREET JOUNAL
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子どもたちに十分な睡眠時間をとらせていないと感じているなら、
この研究が少しは慰めになるかもしれない。
あなたの両親世代も、祖父母世代も、曾祖父母世代も、
同じ思いを抱いていたのだ。

少なくとも米小児医学誌ペディアトリクスに掲載された研究によると、
過去1世紀の間、子どもたちの睡眠時間は
推奨された時間に常に足りていなかった。

この研究は、1897~2009年に推奨されていた睡眠時間を調べ、
ほぼ同期間に子どもたちがとっていた実際の睡眠時間を検証した。
それによる と、推奨睡眠時間は同期間中に何度も変更されたが、
毎年1分弱―正確には0.71分ずつ推奨睡眠時間が減っていった。
また実際の睡眠時間は毎年平均で 0.73分ずつ減り続けてきた。
また子どもたちの実際の睡眠時間は、
ほぼ1世紀にわたり、推奨睡眠時間より約37分少なかった。

現代の推奨睡眠時間はハーバード大学医学部や
非営利の米睡眠財団などから発表されている。
研究対象の初期の頃の推奨睡眠時間は1916年に発行さ れた
育児ガイドブックなどからデータが集められた。
研究者らによると、20世紀後半は推奨睡眠時間の
データがなかったので、1965年以前のものと
 2000年以降のものを使用したという。

研究によると、子どもたちは1世紀前に比べ、
70分睡眠時間が減っている。
また推奨睡眠時間もこの間、同程度減っているという。

研究によると、子どもたちの睡眠時間が足りない理由として、
最近の専門家らがよくやり玉に挙げるのは
20世紀初頭の専門家らも指摘したのと同じ「犯人」だ。
つまり「近代テクノロジーの魅惑」である。
今回の研究の筆頭執筆者で豪州アデレードにある
南オーストラリア大学の大学院で健康科学を専攻する
リサ・アン・マトリッチアーニ氏によると、
「1900年代初めはラジオや学校の教科書が
(睡眠不足の原因として)非難された。
今はテレビとインターネットだ」という。

またこの研究によると、過去のほぼ全ての推奨睡眠時間には
科学的研究の裏付けがないという。
「100年後の今も、推奨睡眠時間について
納得のいく根拠はない」とマトリッチアーニさんは言う。

睡眠の専門家はこれに反論している。
ワシントンDCにある国立小児医療センターの
ジュディス・Aオーエンズ睡眠医療ディレクターは
「私たちが今使っている推奨睡眠時間は以前に比べ
実際のデータに基づいている」と反論する。

オーエンズ医師によると、最近の推奨睡眠時間は
子どもたちが実際にとっている睡眠時間と、
その結果あらわれる注意力の持続時間や感情、
行動面での変化を検証した研究に基づいているという。

睡眠財団によると、5~12歳の子どもは10~11時間、
10代の若者は9~10時間の睡眠が必要だ。
しかし同財団が2006年に6年生から高校3年生までの
生徒と保護者1602名を対象に行った調査によると、
11~17歳の45%は8時間未満の睡眠しかとっていない。

近代テクノロジーは睡眠に入る時間を遅らせるだけでなく、
夜中に子どもたちを起こすこともある。
2011年に同財団が実施した調査では、
13~18歳の18%が週に何度か夜中に携帯電話やメールの
着信音で起こされると答えたという。

今回の研究は子どもたちの睡眠不足による
健康への悪影響に対する懸念が拡大するなかで発表された。
ここ数年、子どもたちの睡眠トラブルと、
肥満、攻撃的行動、学習能力や記憶力の低下といった
問題とを結びつける研究が発表されている。
睡眠トラブルを抱える子どもたちは、
睡眠トラブルのない子どもたちに比べて
将来、うつや不安障害、アルコール・薬物依存症などの
問題に苦しむ傾向にあるという。

記者: Andrea Petersen
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