子ども守る窓口充実/県中央児童相談所移転


朝日新聞
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県の中央児童相談所(長野市)が22日、
移転して開所式を行った。
ここ数年は児童虐待相談の増加や一時保護への対応で
施設が手狭となっていた。
新施設では相談室や一時保護のスペースを
大幅に増やし、機能強化を図っている。

移転した場所は長野市南長野妻科の
旧県公衆衛生専門学校の建物。
これまでの社会福祉総合センター(同市若里)内の施設より
面積は約4倍に広がった。事業費は約3億8千万円。
20日から業務を始めている。

児童相談所は児童福祉法に基づき
都道府県などが設置するもので、
県内には統括役の中央のほか、松本など計5カ所にある。
障害や家庭環境、非行など18歳未満の子どもの
様々な問題の相談窓口で、専門の職員が対応。
状況に応じ施設入所や医療機関紹介などの措置を取る。

相談件数は県全体で年5千件程度で、
身体や精神障害の相談が半数を占める。
最近では発達障害の相談も多いという。

特に増えているのが児童虐待の相談。
2010年度は839件で、5年前に比べ200件以上増えた。
法改正で市町村も相談窓口を設置したが、
深刻な事例は専門職員がそろう
県の相談所に来ることが多いという。

だがこうした相談に対し、相談所の態勢が十分だったとは言い難い。
中でも課題だったのが子どもを相談所で預かる
一時保護への対応だ。
虐待のほか、親の入院といった事情で家に住めない子を
相談所に預かる制度だが、旧施設では3部屋(10人)しかなかった。

10年度の一時保護の人数は289人。
県こども・家庭課は「発達障害など
相部屋が難しい児童もいる」と言うが、
住み分けは難しい状況だった。
定員を超えた場合は外部委託などで対応してきたが、
職員や子どもがリビングで寝起きすることもあったという。

このため新施設では8部屋(15人)に増床。
リビングと勉強場所を分けて子どもが落ち着いて過ごせる
生活空間を作り、浴室も男女別にした。
また重大犯罪を起こした子に対応する個室も設けた。

相談に訪れた人が職員と話す部屋も2倍の10室に。
旧施設では一般の人も立ち入る場所に相談室があったが、
全て個室でプライバシーを保ち、
落ち着いて相談できるようにした。
開所式で宮沢学所長は「施設の機能を生かすとともに、
職員の専門性の向上を図っていきたい」と話した。(伊藤唯行)
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