特修生 高卒同等の資格 通信教育で取得


朝日新聞
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■「特修生」自立へ学ぶ
■学習施設「制度知って」

中学卒業や高校中退の学歴でも、
高校卒業と同等の資格が得られる
大学通信教育の「特修生制度」。
制度を実施する札幌市の学習施設では、
高卒と同等の資格を得た人たちが保育士などを
目指して短大などに進み、キャリアアップを目指している。
制度の存在はあまり知られておらず、
学習施設は「自立のために学ぶ人たちに、
ぜひこういう制度があることを知ってもらいたい」と
呼びかけている。





■保育士など目標

札幌市西区の「こども学舎」は
2009年にスタートした学習施設。
東京福祉大通信教育部札幌学習センターとの位置づけで、
所定の期間に必要単位を修得したり、
認定試験を受けたりすることで、
高校卒業と同程度と認められる
特修生制度を導入している。
こども学舎では、高卒と同等の資格を得た後、
さらに進学して保育士や幼稚園教諭の資格を目指す
カリキュラムも設けている。

こども学舎で制度を利用するのは
中卒や高校中退の生徒で、
母子家庭の母親を支援する給付金制度を利用しながら、
自立を目指すシングルマザーたちも目立つ。
1月には19人が特修生制度を利用して
短大入学の資格が認められた。


■9歳息子も応援

札幌市西区に住む住吉綾さん(28)も特修生制度で学び、
高校卒業と同等の資格を得た1人だ。
小学3年生の長男天馬君(9)と暮らすシングルマザー。
高校を2年で中退、結婚して18歳で出産したが、
2010年に離婚した。
「学歴がなく資格もないと、思うような仕事が見つからず、
収入にも差がつくのが悔しかった」と話す。

パソコンの基礎訓練のために通っていた
こども学舎で、特修生制度を知った。
「頑張っている姿を子どもにも見せたい」と
受講を決意し、昨年春から勉強を始めた。

だが1日3時間の授業が週4日、
原稿用紙7~8枚分のリポートを月2~3本書かなければならず、
行き詰まって「やめようかな」と弱音を吐いたことも。
そんな時、天馬君に「やめちゃだめ」と背中を押された。
友達が遊びに来た時も、「ママが勉強してるから
静かにしてね」と頼むなど気遣ってくれたという。

そして手に入れた短大入学の許可書。
住吉さんは「保育士や生活相談員などを目指し、
困っている人の役に立ちたい」と笑顔を見せた。

■説明会2回予定

特修生制度は他の通信制大学や短大にもあるが、
まだ数が少なく、知名度も十分ではないという。
こども学舎では、3月4日と4月7日のいずれも
午前10時から、特修生制度などの説明会を開く。
問い合わせは同校(011・616・1771)へ。
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