新築の移転先難航 まろみ保育所


紀伊民報
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和歌山県田辺市は22日、同市中万呂の
市立「まろみ保育所」の新築移転地の購入費や
調査設計委託料などの予算3747万5千円を
3月市議会で減額補正することを明らかにした。
2011年度当初は同市城山台を移転地にしていたが
昨年9月に上万呂に変更。
しかし、「保育環境に適しているか」との声があり、
計画をいったん白紙に戻した。
市は現地の環境調査の結果をみて再検討するという。

現園舎は1977年建築の鉄骨一部鉄筋コンクリート2階建て。
2007年度の調査で耐震補強が必要と診断された。
また保護者や住民から朝夕の送迎時に園舎入り口前の県道が
車の出入りで混雑して危険だと改善を求める声が出ていた。

市はこうした意見に加え、現敷地面積が
2850平方メートルで改修工事をするには手狭なため
不可能と判断し、城山台に移転することを決めた。
11年度当初予算案に調査設計や用地購入費として
1億44万円を計上した。

しかし、万呂町内会から「地元にとどまってほしい」との
要望があり、9月市議会では上万呂の梅畑などの
土地(約3500平方メートル)を移転候補地に改めた。
設計委託で22万円、用地費6546万円を減額、
梅の立木補償で720万円を増額した。

ところが、今度の移転候補地について、
事前に近隣に説明がなかったことや通行量の多い
車道に面していることなどを理由に地元企業から
反対の意見が上がっている。

市は1月末から環境調査(費用約450万円)をしているが、
こうした声を受けて本年度に予算計上していた
用地購入や設計調査を取りやめ、減額することにした。
環境調査の結果、「不適」なら断念してあらためて
適地を探し、「適」だったとしても反対意見が出ていることから
「最適地かどうかの判断を再度見極めたい」と話している。

現まろみ保育所は定員120人で
1月現在、115人の園児が通っている。

■「計画の再考を」 近隣の事業所が陳情

田辺市中万呂のまろみ保育所の移転候補地に
隣接する自動車整備工場(同市上万呂)の経営者や関係者ら
4人が22日、市役所を訪れ、移転計画地の再考を求める
陳情書を真砂充敏市長や高垣幸司市議会議長に提出した。

陳情書には計画地の近隣で営業している
11事業所が署名している。
再考を求める理由には、決定までに周辺関係者にされるべき
説明がなかったことや、出入り口に大型車両の通行が多いこと、
保育所用地に好ましい立地条件として
到底考えられないことなどを挙げている。
真砂市長は「陳情を十分に受け止めさせていただき、
環境影響調査の結果を踏まえて検討していきたい」と語った。
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