待機児童、駅前送迎付き保育所で解消 千葉県流山市の対策


MSN産経ニュース
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保育所の待機児童対策として、
駅前に送迎保育ステーションを設ける施策が注目を集めている。
無認可保育所と比べ費用が安く、
保育の質が確保された認可保育所は
「駅から近い」「延長保育がある」場所の人気が高い。
駅から遠く延長のない保育所には比較的空きが出やすいことから、
保育所人気の格差解消に一役買っている。(村島有紀)


併願受験のよう

今春、東京都板橋区のマンションに入居予定の
会社員の 松田陽子さん (40)=仮名=は、
長女(4カ月)のために通勤駅に近い
認可保育所2カ所に申し込んだが、
希望者が多く入園できるかどうか不明だ。
東京都の認証保育所(無認可)にも
入園金約2万円を振り込んだ。

松田さんは「育児休業が終わる9月まで
子供のそばにいたいが、1歳児からの入所は
ゼロ歳児よりさらに倍率が高く、入所が難しい。
保育所探しは、まるで本命と滑り止めの
併願受験のよう」と憤る。

入園倍率が高いのは駅から近く延長保育があり、
新築の家やマンションが多い地域の保育所
一方、高齢化が進み、子供が少ない地域は
空きが出やすい。

同区保育サービス課は「高齢化した区域も含め、
手当たり次第に申し込めば入れることもある。
しかし、実際には入所が決まっても自転車で
1時間かかるなど送迎手段が現実的ではない」
と地域格差を指摘する。

延長保育も有料で
こうした現状から「駅前送迎を行ったらどうか」という発想で
待機児童対策を進めているのが、千葉県流山市だ。
平成17年のつくばエクスプレス(TX)開業で、
都心部のベッドタウンとなった同市は、
現在も駅周辺で大規模マンション建設などが進められ、
子育て世代の人口が増加中だ。

TXの「流山おおたかの森」と「南流山」の2駅に連結した
駐車場のあるビルに作った「送迎保育ステーション」の運営は、
社会福祉法人「高砂福祉会」が行い、
市内21保育所のうち19保育所と提携。
子供を預ける親は駅前にあるステーションで
子供(1歳以上)を送り迎えし、社会福祉法人のバスが朝と夕方、
それぞれの保育所に子供を送迎する。

送迎は1日につき100円。
ステーションは午後10時まで開園し、
夕食付きの延長保育も有料で提供する。
「流山おおたかの森」駅には195人が登録。
スペースが手狭になったため、昨年スペースの拡充も行った。

5歳の長女がいる男性(32)は
2年前、同駅周辺のマンションに転居。
長女(5)の通う保育所は車で20分離れた場所にあるため、
送迎保育ステーションを利用している。
第2子を出産後、育児休業を取り、
今年4月に復職予定の女性(36)は
「長男と同じ保育所の入園を希望しているが、
もし(入園希望が多くて)入れず他の園になっても
ステーションがあるから送迎は1カ所で済み、
助かる」と話している。



安全誘導ルート確保など重要

流山市子ども家庭部によると、
送迎保育ステーションの成功のポイントは、
(1)駐車場から一時保育施設へ子供たちを
   安全に誘導するルートを確保
(2)送迎ステーション、保育所、保護者の連携を取る
(3)渋滞のない送迎ルートを選ぶこと-など。
宮島芳行・子ども家庭部次長は
「全ての自治体で駅前送迎ができるわけではないが、
一つの方法。それぞれの地域特性を生かした
待機児童の解消策がある」と話している。
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