育児休暇、男性の取得増えれば女性不利に?


THE WALL STREET JOURNAL
------------------------------------------------
父親たちはよく、母親との育児分担について
立派な意見を述べる。
しかし、育児は平等に負担するべきだと
公言する夫婦が実際にはそうしていないことが、
新たに発表された調査でわかった。

調査の対象は、異性と結婚し、2歳未満の子どもを持つ、
終身在職権のある教授。
みな育児休暇を取得することが可能だった。
子どもの世話について、自分が配偶者と比べてどうかを聞かれた。
具体的には、おむつの交換、病院に連れて行くこと、
食べさせること、仕事を休んで子どものために家にいること、
入浴させることなど約25項目だ。

過半数が、男性と女性は育児を分担すべきだと考えていた。
男女ともそう考えていたが、特に女性でこの傾向が強かった。
ただ、男性109人のうち、子どもの世話を
半分ないし半分以上しているとしたのは3人のみ。
これに対し女性は73人のうち70人が、
夫婦ともフルタイムで働いている場合であっても、
少なくとも半分の仕事をしているとした。

有給育児休暇を取得した女性教授は休暇の大半を
授乳などの育児に充てていた。
これに対し男性は、研究や論文発表など
育児以外のことに使っていた。

また、女性は子どもの世話を男性よりも楽しんでいた。

調査はこの結果について、
「女性教授のほうが多く子どもの世話をするのは、
男性よりも楽しんでいることが理由である
可能性がうかがえる」としている。
女性回答者の圧倒的過半数と
男性回答者の過半数が、
夫婦は育児を平等に分担すべきだと考えているが、
「ジェンダーに関するイデオロギーは、
育児に関する感情ほど重要でないのかもしれない」という。

この調査結果は、ジャーナル・オブ・ソーシャル・
エボルーショナリー・アンド・カルチュラル・サイコロジー誌の
1月号に掲載された。
実施したのは、バージニア大学教授の
スティーブン・ローズ氏と息子で
コネティカット大学准教授のクリストファー・ローズ氏
(調査が行われたのは01年。
その後、ジェンダーや育児に関する
考えが変わったことも考えられる)。

両氏によると、男性は仕事に時間を使いがちなため、
有給育児休暇制度は女性でなく
男性に有利に働く可能性がある。
現在、育児休暇を取得する男性は12%にとどまっているが、
「男性の取得が大幅に増えると
(職場での)男女平等が進むどころか、
男女差のない育児休暇のおかげで
さらに男性が有利になる」という。

ただ、こんな主張もあり得る。
男性にとって育児休暇は、
それまでより多くの家事や育児をこなすことを学ぶ機会だ。
そして、職場での真の平等は
家庭での平等がない限りあり得ない、と。

育児休暇は父親がキャリアを伸ばすための
フリーチケットにすぎないのだろうか。
------------------------------------------------