幼保一元化で保育の質は-


タウンニュース
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政府は子ども・子育て新システム検討会議で、
就学前の子ども向け政策を一本化する
「幼保一元(体)化」を進める。
この改革は、子育て環境の改善につながるのか。

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「待機児童解消と就学前の子どもの縦割り行政の解消」
を目的とする「幼保一元化」。
2015年の本格実施を目指すとされているが、
どのような仕組みなのか。
分かりやすく言うと、保育所と幼稚園の機能を併せ持つ
『総合こども園』を設置し、
従来の保育所・幼稚園を移行させるというもの。
保護者の就労状況に関わらず、
「すべての子どもが公平に保育・教育を受けられること」が
根本的な考え。
この前段階として2006年から、
保育所と幼稚園の機能を備えた
『認定こども園』の設置が制度化されたが、
神奈川県内では、制度開始から5年で28園に留まる
(横須賀市内はゼロ、設置していない県もある)。
「双方の良さを兼ねそろえた施設」だが、
管轄官庁や設置基準などさまざまな
”法律・制度の違い”が設置を難しくしていると言われる。
運用・運営面での施設側の負担も大きく、
「より質の高い教育・保育の提供」というメリットに対して、
二の足を踏んでいるという状況だ。

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新制度では、現状の認可保育所・認定こども園・幼稚園を
それぞれ4つのタイプの「総合こども園」に
移行させるとしている(上記表)。
これまで行っていた助成・補助金のシステムは再編され、
「こども園給付」とする、
運営に関しては民間企業の参入を認め、
保護者は施設を自らが選んで直接契約する―など、
その構造は複雑化。
自治体は、児童福祉法24条に規定される
市町村の「保育の実施義務(待機児童を解消する義務など)」
がなくなり、保育の必要性の
認定だけを行う立場になるという。

さらに、総合こども園には0〜2歳児の保育を
義務付けておらず、目的とする
待機児童の解消にはつながらないという見方もある。
教育・保育の質の低下を危惧する声もあり、
県内では逗子市議会や葉山町議会などで、
児童福祉法24条の堅持も含めた
慎重な対応を求める意見書を採択するなど、
新システムに対する反対・撤回を求める動きも見られる。

「子どもの保育・養育・教育を、
”システム”で大きく変えてしまうというのは違和感がある、
当の子どもを置き去りにしないで」と話す
市内の幼稚園関係者。
さらに「横須賀市は中核市として、
この制度改革をどのように捉えているのか
明確にしてほしい」と付け加える。
大人の都合で子どもを振り回すことのないよう
―その動きを見守りたい。 
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