「子どもの居場所づくり」1年 成果と課題 日光


下野新聞
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【日光】虐待、育児放棄など、養育困難な家庭を対象とした
市の「子どもの居場所づくり事業」が始まって、3月末で1年。
市から受託するNPO法人「だいじょうぶ」が、
食事、風呂の世話といった当たり前のことが
行えない親に代わって、
放課後の子どもたちに家庭的な「居場所」を提供している。
同事業ではスタッフが、支援を拒んでいた家庭とも
信頼関係を築き、親子を救う成果を上げているものの、
一人一人に向き合う十分な時間の確保といった点に課題も出てきた。

「ただいま」。学校を終えた女子児童が、
明るい声で「居場所」へやって来た。
「お風呂に入ったら」。スタッフに促されるも
「まだいい」とこたつの上にノートを広げ、絵を描き始めた。
隣の台所では、夕飯の支度が進んでいる。

自宅や祖父母の家の雰囲気を大切にする
この居場所づくり事業は、養育困難家庭の親子が対象で、
子どもについては風呂に入れ、
洗濯した服に着替えさせて夕飯を食べさせ、家に帰す。

対象者は、市の担当など関係者による
毎月の会議で選定。
主に小中学生で、現在、20人弱で推移している。

居場所利用は、同事業が始まった
昨年4月以降増加をたどり、
ピークとなった夏休みの8月は、
同所を開けた26日間で延べ206人
(子ども186人、大人20人)を数えた。
これ以後も、20日間程度で180人前後の利用が続いている。

養育困難家庭には、訪問しても面会できないなど、
支援が届きにくい状況もあった。
しかし、同事業については子どもが居場所のメリットを実感。
風呂に入らないため「臭い」とからかわれていた子が、
居場所へ通うようになり「臭いと言われなくなったよ」と
笑顔で報告してきたこともあったという。

利用する親は周囲に怠けているようにも映るが、
同法人理事長の畠山由美さん(51)は
「親は自分が知らずに育ったため、
子どもにも、きちんと食べさせたり
風呂に入れたりすることができない」と問題の根深さを指摘。
「居場所が一つの家庭教育の場になれば」と話す。
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