元裁判官の主婦が子育て本出版


朝日新聞
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裁判官として非行少年、少女らと接した経験がある
兵庫県西宮市の主婦、内藤由佳さん(33)が
「転ばぬ先のこそだて」(エール出版社)を出版した。
「一人でも多くの子どもに幸せな未来を築いてほしい」と、
子育て中の親向けに書いた。

内藤さんは福島県生まれ。東京大法学部を卒業後、
2002年に裁判官になった。
高知地裁(高知県)で約2年間に、
200人ほどの非行少年と関わった。
長男(4)に自閉症の障害があることがわかり、
子育てに専念するため、昨年2月に退職した。

その後、裁判官時代の経験を生かそうと、
西宮で自主的に育児中の母親向けの講演会を開いた。
そして、広く考えを知ってもらおうと、
今年2月に本の原稿を出版社に持ち込んだところ、
採用された。

内藤さんによると、非行少年のタイプや家庭環境は様々。
身勝手に振る舞っていた親は全体の2割未満で、
大半の子どもが小学生まで真面目だったという。

古本屋で漫画を万引きした男子高校生、
援助交際をしていた16歳の家出少女――。
「家庭が悪いのでは」「友達関係ではないか」などと
原因を考えて、環境を改善させようとしたが、
「本当に変わらなければならないのは、少年自身の心。
幸せを感じられない心のあり方でした」。

本では、デパートで大量の服や宝飾品を盗み、
捕まった少女のケースも取り上げている。
家庭は裕福で、親に愛されていた。
高価な物をたくさん買ってもらい、「いい学校」に通っていた。
親は「子どもの幸せのため、
最大限頑張ってきた」と考えていたが、少女はこう言った。
「プレッシャーになっただけ」「親には不満しか感じていない」

「無計画に物を与え、『もらえるのがあたり前』という
物の見方を育て、幸せの感性を鈍らせてしまった」
「我慢する経験があってこそ、『もらえるのは特別』という
思いが生まれ、『もらえる喜び』に心がつながる」と分析している。

内藤さんは「幸せを決めるのは環境ではなく心。
あたり前に生きていることが、どれだけありがたいことなのか、
感じる心を子どもに育んでもらえたら」と話している。

181ページ。1575円(税込み)。
問い合わせはエール出版社(03・3291・0306)へ。(森直由)
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