那覇市:保育士不足が深刻 待機児童急増/沖縄


毎日jp
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県内待機児童の多くを占め、
待機児童数が急増している那覇市は、
待機解消に向けて無認可保育園の認可化だけでなく、
認可園の定員を増やすために
保育士の増員に力を入れているが、
ことし3月時点で保育士が確保できず、
不足状態が深刻化していることが分かった。
同時点で保育士は19人足りず、
保育園1園分に当たる乳幼児77人が入園できなかった。
識者は保育士不足の原因について、
市内認可園の平均正規雇用率が36・9%にとどまる“低さ”を指摘。
「保育士の待遇改善がなければ、
待機児童解消につながらない」としている。

那覇市の待機児童数は昨年4月現在、
前年と比べ4・4倍に当たる493人に急増、
過去10年で最高になった。
最近5年でみると2007年の379人をピークに減少が続き、
10年度は112人まで減った。
だが11年度は一転して急増、
過去10年で初めて400人の大台を超えた。

これを深刻視した同市は、
市内の市立・認可保育園全70園を対象に
待機児童の受け入れの余地を初めて調査した。

一方、正規雇用率について市内60の認可保育園の調査では、
11年4月現在で平均36・9%。
県が目標とする6割には大きく届いていないのが現状だ。

市内保育園の一つを運営する園長は
幼児らと向き合う保育現場で、
正規と非正規職員は同じ仕事をしていながらも、
給料や年休取得などで差がつき
「不満が鬱積(うっせき)して辞めることも多い」と語った。

非正規雇用が多い理由として、
毎年変動する園児の年齢別人数に合わせて
保育士数を調整することや、
将来の設備投資を見据え人件費の流出を
抑えることなどを挙げた。
その上で「正規職員を増やすことに限界もある」と話した。

県によると、保育士の有資格者は
11年4月現在で県内に約1万6千人いる。
その中で実際に保育士として働いているのは約7千人だ。

保育士を養成している
沖縄キリスト教短期大学の教授は、
保育士離れが進み定着率が悪いと分析する。
「非正規率が高いことに学生からも不安の声がある。
保育士の待遇を改善しないと
待機児童解消につながらない」と指摘した。

那覇市こどもみらい課は
「県の目標である正規雇用率6割に向け
保育園長会などで呼び掛けている。
保育士の確保がさらに困難になりそうな中、
県とも連携し、できる限り正規雇用率を上げるよう
保育園への働き掛けを強めたい」としている。(知念征尚)
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