こども園 分園方式始動/教育リポート


朝日新聞
------------------------------------------------
■橿原で2園「地域の実情にあわせて」

幼稚園と保育所が一体となって運営される
「こども園」が今月、橿原市に計3園オープンした。
3園のうち2園は、既存の幼稚園と保育所を
有効活用するため、分園方式を取った。
県内のこども園では初の試みだ。

今井町2丁目の「市第2こども園」は、
250メートルほど離れた
市立の今井幼稚園と今井保育所が統合してできた。

それまで今井保育所が定員いっぱいの
140人近くを受け入れ、遊戯室まで保育室にする状況だった一方、
今井幼稚園は35人定員の教室が四つあるのに、
通う園児は約25人。
市は0~3歳児は旧保育所、
4~5歳児は旧幼稚園に通わせることで
教室のミスマッチを解消することに成功した。

0~3歳児は83人、4~5歳児は87人の計170人が通う。
長時間児(保育所)は午前8時半~午後4時半だが、
午前7時15分からの早朝保育と
午後7時までの延長保育がある。
短時間児(幼稚園)は午前8時40分~午後2時10分だが、
午後4時までの預かり保育がある。
職員は保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持つ。

2歳の男の子と4歳の女の子を通わせる
同市北妙法寺町のパート従業員(34)は
「朝の貴重な時間に両方の園舎に
行かないといけない負担はあるけど、
ゆったりした施設で、これまでになかった
教育を受けられるという期待は大きい」と話す。

分園方式を取るもう1カ所は、
鴨公(かもきみ)幼稚園(橿原市縄手町)と
藤原京保育所(同市四分町)を統合した市第1こども園。

国の制度に基づく「認定こども園」は、
地域の子育て家庭を対象にした相談活動や
親子の集いの場となる子育て支援施設の設置が条件で、
県内に7園にある。
しかし、橿原市の場合、そうした施設はすでに
近鉄大和八木駅前などにあることから
新たに設置せず、国の認定は受けていない。
こども未来課の栗原照仁課長は
「認定の基準だけにとらわれるのではなく、
地域の実情にあったこども園をつくっていければ」と話す。

認定こども園は、県内では09年に
奈良市が最初に導入したが、
給食施設や子育て支援施設の設置が必要な一方で
財政支援がなく、管轄も厚生労働省と文部科学省に
分かれたままで事務作業が複雑なことから、
あまり広がっていない。

(渡義人)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆認定こども園

就学前の教育と保育を一体的に提供する施設。
保育所に入れない待機児童の解消や、
少子化による幼稚園の定員割れに対応するため、
国が2006年に導入。
保護者の就労の有無に関わらず受け入れる。
11年4月現在、全国に762カ所あり、
県内には富雄南幼稚園、都祁保育園、
左京幼稚園(以上奈良市)、高田こども園、
土庫こども園(以上大和高田市)、治道認定こども園(大和郡山市)、
やまだこども園(天理市)の計7園ある。
------------------------------------------------