「イクジイ」で孫の育児にかかわる


YOMIURI ONLINE
------------------------------------------------
育児を楽しむ男性「イクメン」が注目される中、
祖父たちの間にも、孫の育児への関心が高まっている。
乳幼児への接し方を学ぼうと、
地域の子育て講座に参加する人も。
祖父が若い親たちのよきサポート役になるには――。
遊ぶことから始まる

福島県老人クラブ連合会は、
今年2月に同県郡山市、3月に会津若松市で
「祖父のための孫育て講座」を開催した。
両会場合わせて60~80代の男性約40人が参加し、
赤ちゃんの抱き方や沐浴もくよくの仕方、
遊びを通して触れあう方法などを2日間かけて学んだ。

孫育て講座に講師を派遣したのは
NPO法人エガリテ大手前(東京)。
各地の自治体などと協力し、
2年前からこうした講座を開催している。

祖父世代の男性は育児に不向きと思われがちだ。
しかし、「エガリテ」代表の古久保俊嗣さん(57)は、
「家庭より仕事を優先する時代を生きてきて、
子育てを妻に任せざるを得なかっただけ。
決して育児に無関心なわけではない」と話す。
「祖父に育児の方法を教えよう」と企画したのが孫育て講座。
修了したら育児ができる祖父の証しとなる
「ソフリエ」認定証を手渡し、励みにしてもらう。
これまでに100人以上が受講した。

 実際、孫の世話でどんなことに気をつければいいのか。

子育て経験の少ない祖父がいきなり
一人で世話をするのは難しい。
まずは、祖母や孫の親が一緒にいるときに
孫と触れ合うのに慣れていこう。

孫と遊ぶことから始めるとよい。
「エガリテ」理事の竹村泉さん(57)は、
「特別なおもちゃを購入する必要はない」という。
例えば、「いないいないばあ」や、
表情をまねし合う「まねっこ」などの
単純な遊びの方が、乳幼児の関心を引くことが多い。

ぐずることもよくあるだろう。
慌てずに、抱き方を変えてみたり、
屋外に出て気分を変えたり。
どうしたらいいのか、家族に聞きながら、
対応の仕方を覚えていこう。

大切なのは、コミュニケーション。
竹村さんは、「若い親たちの育児方針を
尊重するのが基本」とアドバイスする。

孫がいなくても、地域の子どもに関われる。
東京都大田区の岡村紀男さん(71)は
昨年、区民講座で知り合った仲間と、
自宅で子育てサロンを始めた。
月4回の開催日には、乳幼児を連れた母親たちが集まり、
食事やおしゃべりを楽しんでいく。
岡村さんには子どもがなく子育て経験もないが、
「子どもが大好きという思いで接しています」という。

NPO法人「ファザーリングジャパン」(東京)は、
ホームページ(http://www.fathering.jp/ikujii/)で、
岡村さんのような地域の子育て支援に関わる男性たちを
「イクジイ」として紹介している。
子育て支援センターで絵本の読み聞かせを手伝ったり、
手作りおもちゃで遊んだり。
参考にしてみてはどうだろう。

共働き世帯が増え、
家庭だけで育児を担うのは難しくなっている。
「エガリテ」の古久保さんは、
「祖父たちが日本の子育てを支える、
新たな担い手になれるかもしれません」と話す。
------------------------------------------------