来月「流鏑馬」に向け小中生が熱


中日新聞
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五月三、四の両日、豊川市一宮町の
砥鹿(とが)神社で行われる流鏑馬(やぶさめ)に向けて、
子どもたちが乗馬の練習を続けている。
「四百年の伝統を絶やすな」。
子どもたちも指導する大人たちも、
本番での成功を信じて仕上げの練習に励んでいる。

流鏑馬は、無病息災や五穀豊穣(ほうじょう)を願い、
四百年以上続く伝統行事。
袴(はかま)姿で薄化粧の子どもが馬に乗り、
五色の布引をたなびかせて馬場を疾走する。
弓矢を射ることはないが、小中学生が馬に乗るのが習わしだ。

騎児(きじ)と呼ばれる乗り手の育成は、
流鏑馬で使う馬の飼い主らが担う。
本番には十二頭の馬が参加するが、
そのうちの二頭を提供する豊川市大木町の
今泉時夫さん(67)のもとでは、
八人の小中学生が練習している。

馬に乗って疾走できるようになるには三年ほどかかり、
四年生にならなければ出場できない決まりだ。
両手を離して乗れるまでにはさらに一、二年かかるという。
本人や親が希望して騎児を目指し、
本番が終わった直後から月に三回程度の練習を続けている。

三月下旬のある日、大木町の馬場では
三人の子どもがそれぞれ馬に乗り、
ゆっくりと円を描きながら歩く練習をしていた。
「はい」と馬上から声を掛ける。
「行け」という合図だ。止めたい時には「どう」と命じる。

四年間練習を続ける一宮中一年男児は
「馬に乗るのは楽しくて気持ちいい」と魅力を話す。
昨年に続き騎児を務めるといい
「今年は手をできるだけ水平に挙げて
堂々と乗りたい」と意気込む。

二年前から練習を始めた設楽町田口小三年男児は
「流鏑馬を見てかっこいいと思った。
四年になったら乗れるようになりたい」と目標を口にする。

馬はかつて農耕馬として使われたが、
今は流鏑馬専用で飼育も指導も無報酬。
今泉さんは「代々、馬を飼い、私自身も騎児を務めた。
伝統を守りたいという気持ちが強くありますね」と話す。
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