避難の母が「子育て広場」


YOMIURI ONLINE
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東日本大震災や原発事故の影響で、
福島県から山形市内に幼い子供を抱えて
避難している母親たちが6月にも、
子育て広場「ふくしま子ども未来広場」を開所する。
二重生活を続ける中、
働くことを希望しても子供の預け先が見つからないといった
避難者の声から始まった取り組みで、
まずは、短時間の一時預かりを行い、
将来的には保育施設の運営を目指している。

県内には、福島市や福島県郡山市などから
母子で避難している人が多い。
県によると1月末現在、民間借り上げ住宅に入居した人のうち、
0~6歳児の未就学児は3303人。
夫を福島に残しての二重生活のため、
就労を希望する人が多いが、
主な避難先の山形市では保育所の待機児童がいるなど、
子供の預け先探しに苦労する例が目立つ。

そこで、避難者の母親たちで作る「山形避難者母の会」では、
子供を安心して預けられる場所を自ら作ろうと決意。
1月から、避難者のうち保育士の有資格者4人や
事務局メンバーら計約10人が会議を重ねてきた。
2012年度は、福島県の「地域づくり総合支援事業」から
人件費を中心に約900万円の補助金が支給される見込みで、
山形市の映画館「フォーラム山形」2階に
スペースを借りられることになった。

当初は、フルタイムで働く母親のために、
保育施設の設置を目指したが、
衛生管理が行き届いた子供向けトイレや調乳室、
もく浴スペースなどの確保が難しく、
まずは短時間の一時預かりからスタートすることにした。
映画を見たり、美容院や買い物に行ったりと、
母親たちのリフレッシュに活用してほしいとしている。

18日の会議では、利用料を1時間200円とすることなどを確認。
今後、利用希望者向けの説明会や
保育士による子育て相談会などを行い、
広場の周知を進めていく。

0歳と3歳の子供2人と一緒に、
福島市から山形市に避難中で、
保育士として広場で働き始める鈴木志保さん(29)は、
「費用がかさむので私立幼稚園に通えないが、
子供には親と家にいるばかりでなく、
他の子供とも遊んでほしい」と話す。
一からの広場作りに不安もあるというが、
「資格を生かして働けることはうれしい」と語った。

山形避難者母の会の中村美紀代表は、
「期待を寄せているお母さんたちが多いと思う。
軌道に乗れば少しずつ規模を拡大して、
いずれは働く母親の子供の保育も行いたい」と話している。

6月には同じスペースで、
親子向けのキッズカフェもオープンする予定で、
福島、山形の母子が気軽に集まれる場を目指している。
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