育児　おむつに頼らずに

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YOMIURI ONLINE様
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赤ちゃんの排せつのタイミングを声やしぐさで察知する、
「おむつなし育児」が広がっている。
おまるやトイレを使うのでおむつが汚れない。
赤ちゃんも気持ちよさそう。子育てが楽しくなるようだ。

「おしっこかな……」

福岡県筑紫野市の主婦、室伏恵美子さん（３７）は
生後３か月の長男、保尭ちゃんの布おむつを外して、
抱きかかえ、丸形のおまるに乗せた。
チョロチョロ……。底に小さな水たまりができた。

「これで洗濯物が１枚、減った」。
保尭ちゃんに再び布おむつを当てながら、
室伏さんはうれしそうだ。

寝ている時に急に手足をバタバタさせたり
、むずかったりするのが、おしっこのサイン。
うんちの時は顔が力んだ感じになり、「う～ん」とうなる。
そんな合図をキャッチしておまるに乗せると、
「ふぅ」といった感じで気持ちよさそうな表情になる。
「赤ちゃんなのに、不思議ですよね」

室伏さんは長女の菜帆ちゃん（３）が生まれて
３か月ほどたったころに、友人から「おむつなし育児」のことを聞いた。
それまでは、おむつはぬれたら取りかえるものだと思っていた。
「昔はおばあちゃんが『あ、おしっこするよ。
洗面器を持っておいで』とタイミングを教えてくれていた」。
そんな話に興味を持ち、専用のおまるを取り寄せた。

気をつけて見ていると、まずうんちの合図に気付いた。
おしっこは最初はよく分からなかったが、
言葉を話せるようになると「チーチー」と教えてくれるようになった。
そのうち自分でおまるに座るようになり、
２歳前にはおむつが取れた。

保尭ちゃんの時は、生まれてすぐから挑戦した。
生後１か月半で初めて、おまるでうんちをした。
最近は、おしっこのサインも分かるようになった。
首もすわってきて、おまるに座らせやすくなった。
菜帆ちゃんは「歩けるようになったら、
座り方を教えてあげる」と楽しみにしている。

夕食の支度などで忙しい時間は、
無理してひんぱんに見に行くことはしない。
そういう時は布おむつに排せつしているが、
ぬれるとやはり気持ち悪いのか、
室伏さんがそばに行くと「やっと替えに来た」という表情になるそうだ。
「サインをうまくキャッチできるとうれしい。
育児が楽しくなりますよ」


股あきのベビー服　昔は一般的

福岡市の助産師（６９）は、
おむつなし育児が今も引き継がれている中国で、
若い母親たちからそのコツを聞き取る活動を続けている。

２年前に訪れた天津では、
お尻のところが大きくあいたベビー服が、
地元の商店に並んでいた。
「おまるやトイレで排せつさせる時に便利。
外出する時だけ、その下に紙おむつをつける」という人が多かった。

日本でも６０～７０年ほど前までは一般的に行われていたそうだ。
平田さんが子どもの頃は、宮崎県の実家で
母が幼い弟を抱っこして縁側からおしっこをさせていた。

「便利な紙おむつの普及で、
排せつを通したスキンシップの大切さが忘れられてしまった。
赤ちゃんにとって快適な『おむつなし育児』の方法を学びたい」


赤ちゃんのサイン　読み取って

お産や育児について学びあう母親グループ
「クレセントムーン」（事務局・福岡県小郡市）は、
おむつなし育児の講習会を不定期で開いている。

「赤ちゃんのトレーニングではなく、
我が子のサインを読み取るための親の訓練です」。
主宰者の森由香さん（３８）は、３人の子どもの母。
２人目の出産後におむつなし育児のことを知り、
末っ子の菜々花ちゃん（３）が生まれてすぐに実践してみた。
生後８日目に初めておまるにおしっこをした時は感動したという。

２～３か月たつと合図がほぼ分かるようになった。
「おっぱい」「おしっこ」「眠い時」と泣き方の違いにも気づいた。
「赤ちゃんはこんなにメッセージを伝えていたんだ」

生後半年でおむつをやめ、パンツをはかせた。
夏場は裸で過ごさせた。
遊びに夢中になって床にもらしてしまうこともあったが、
「気持ちよく出てよかったね」とおおらかな気持ちでいられた。
１歳２か月になると、自分からおまるに座るようになった。

一般的なおむつ育児では、
２～３歳ぐらいからトイレトレーニングをする。
おむつに排せつする習慣を変えるのは難しく、
「なかなかうまくいかない」と悩む母親も多いそうだ。

「赤ちゃんもお母さんも満たしてくれるおむつなし育児を、
たくさんの人に伝えたい」と、出張講座にも応じている。

クレセントムーン　電子メールinfo@crescentmoon-web.org、
ホームページ　http://www.crescentmoon-web.org/
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