少子化なのに、なぜ保育園が足りないの?


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少子化なのに、なぜ保育園が足りないの?

不況や、育児休業の整備などで、働くお母さんが増えたからです。


「子どもを預けて働きたいのに、近くの保育園はどこも満杯」――。
こんな悩みを子育て中のお母さんから聞いたことはありませんか。

地元の自治体に認可保育園(保育所)への
入所を申し込みながら満員で入れない
「待機児童」の問題が各地で深刻になっています。

厚生労働省の調査によると、2011年4月時点で、
全国の待機児童は2万5556人。
少子化で減少傾向にあったのですが、08年から増加に転じました。
不況で共働き世帯が増えたほか、
企業などで育児休業を取りやすい環境が整った影響が
大きいと見られています。

昨年は前年よりわずかに減ったとはいえ、
高止まりの状態は続いています。
各自治体が保育所整備に努め、
定員が全国で前年比4万6000人増えたことを考えると、
「つくってもつくっても保育所が足りない」という
担当者らの言葉にもうなずけます。
新たに整備することで、「預けられれば働きに出たい」という親らの
「潜在的需要」を掘り起こすという指摘もされています。

認可保育園への入園は、
保護者からの申込窓口となる
地元の市町村(東京23区は各区)が振り分けます。
一般に両親ともフルタイムで働く家庭が優先され、
パートや求職中の場合、入園は難しくなるので、
申し込まずにあきらめている人も少なくありません。
また、自治体が補助している認可外保育園に預けている場合、
厚労省の調査では「待機児童」の定義に含まれないのですが、
実際には、認可外に預けながら
認可園の空きを待っている親は多いのです。
数字以上に実態は深刻だということです。

最近は、首都圏や近畿圏だけでなく、
地方都市でも待機児童は増えており、
昨年の全国最多は名古屋市、
10位以内に札幌、福岡、仙台、那覇市が入りました。
不況の影響のほか、地方でも3世代同居が減り、
祖父母に面倒を見てもらう機会が減ったこともあるようです。

その一方で今後、少子化はさらに進むと見られ、
「せっかく整備した保育園が将来要らなくなるのでは」
との懸念も自治体には根強い。
開設や撤退が比較的しやすい企業の保育所参入を
政府が進める背景には、こうした事情もあります。
幼稚園にも保育を担ってもらおうという
「幼保一体化」も待機児童解消が目的ですが、
その話はまた次の機会で詳しくしたいと思います。
(編集委員・古沢由紀子)
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