子ども育む市民バンク


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人材の情報共有、学校に紹介

文部科学省の2010年度調査で
小・中学、高校生の暴力行為と、
小学校の不登校児童の割合(出現率)が
ともに都道府県ワースト1となった岡山。
子どもを取り巻く危機的状況を打開するため、
県教委は今年度、市民ボランティアの力を借りて
学校の課題に取り組む「子ども応援人材バンク」をスタートさせた。
地域住民や企業、団体から人材を募っている。(有留貴博)

人材バンクは、子どもの問題行動の改善や学力向上に向けて、
地域住民と連携を強めるほか、
不登校などの専門知識を持つ人材・団体を発掘、
活用することが狙い。
これまでも学校や市町村単位で、
住民らが学校を支援する取り組みはあったが、
人材の情報を県全体で共有し、
支援の網を全ての自治体や学校に広げることを目指している。

支援の仕組みは、教員OBや子育て支援団体、不登校対策など
専門的な知識を持つNPOなどからボランティア(人、団体)を募り、
「おかやま子ども応援センター」(事務局・県教委生涯学習課)に登録。
ボランティアの専門分野や活動可能な地域などを
ホームページ(HP)で公開する。
同センターは、派遣を希望する学校の要望と、
ボランティアの都合を調整し、適切な人材を学校に紹介する。

想定される支援内容は、
〈1〉不登校児童生徒の話し相手
〈2〉暴力行為やいじめを防ぐための校内の見回り
〈3〉個別の学習支援
〈4〉育児に不安や悩みを持つ保護者の相談
〈5〉専門知識や経験を生かした教育支援活動――など。

県教委では、4月27日にボランティアの募集を開始し、
5月17日現在、不登校支援や戦争体験講話などの分野で、
8個人・団体が登録した。
県教委生涯学習課は「多様な課題に取り組める
仕組みにしたい」としており、
地域住民や各種団体に登録を呼びかけている。
問い合わせは同課(086・226・7597)。

<派遣希望と登録 不一致も>

県内では、2008年度に始まった
国の事業などを活用し、
既に一部の学校が市民ボランティアを受け入れている。
11年度は「家庭科の裁縫実習を
地域住民が支援」(勝央町立勝央北小)
「本の読み聞かせや夏休みの算数勉強会で
ボランティア約100人が協力」(赤磐市立山陽東小)など
21市町村の119学校・園で6000人以上が活動。
人材バンクのモデルとなった。

県教委の調査では、支援を受けた学校の
教職員の約9割が「子どもの学習意欲が高まった」
「教諭に心の余裕が生まれた」などの
利点を感じている一方、「学校の希望と
登録ボランティアの支援分野が一致しない」といった
課題も浮上している。

岡山大の熊谷慎之輔准教授(社会教育学)の話
「専門知識のある人がボランティア登録しても、
学校から声がかからない地域もある。
学校側の要望と、ボランティアの専門分野を把握し、
双方をつなぐコーディネーターの役割が
人材バンクには求められる」
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