子どもに笑顔を 心の絵本1157冊 中野の専門図書館が集大成


東京新聞
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全国でも珍しい児童書専門の
私立図書館「東京子ども図書館」(東京都中野区)が、
戦後に国内に出た絵本の中から、
後世に伝えたい千百五十七冊を選んだリスト本
「絵本の庭へ」をつくった。
開館から四十年近く、
子どもたちの反応を間近で見てきた集大成だ。 (小林由比)

東京子ども図書館の歴史は一九七四年に始まる。
五〇~六〇年代、児童文学者の故石井桃子さんらが
都内で開いた四つの家庭文庫が前身だ。
代表理事の張替(はりかえ)恵子さん(58)の話では、
戦後間もないこの時期は、
各国の翻訳作品や「作家が才能をつぎ込み、
編集者も力を込めた絵本」が次々と出版された。
子ども図書館もこうした児童書を蔵書にそろえ、紹介してきた。

しかし、いまや出版不況や少子化で、
長年親しまれた本が絶版、品切れとなることも珍しくない。
「時がたっても子どもに支持されている作品を
今後も伝えたい」と、
東京子ども図書館は五〇年代以降に出た
作品を読み返し、五年以上かけてリストにまとめた。

一冊ごとに写真と紹介文を付け、
グループでの読み聞かせに向く作品に印も付けた。
テーマに沿った展示や本の紹介などにも使いやすいよう
主題や登場人物などのキーワードから引ける索引も充実させた。

東京子ども図書館は東日本大震災後、
蔵書を失った図書館や学校が本を購入する際の
手掛かりになるよう購入可能な本を集めたリストも
被災地に送っている。
また、岩手県陸前高田市に昨年十一月に
オープンした子ども図書館の運営も支援している。

張替さんは、リスト本を
「公立図書館や保育園など、
子どもに本を手渡す立場の人たちに」と望む。
「子どもは素朴で分かりやすく、
満足のいく結末へと至る絵本が好き。
近しい人の声に載せてページをめくる
絵本の役割は大きいはず」と期待している。

「絵本の庭へ」は三千七百八十円。
問い合わせは、東京子ども図書館=電03(3565)7711=へ。

<リストの一部>

・はなのすきなうし(1954年、岩波書店)

・おやすみなさいフランシス(66年、福音館書店)

・だいくとおにろく(67年、福音館書店)

・こすずめのぼうけん(77年、福音館書店)

・イエペはぼうしがだいすき(78年、文化出版局)

・絵巻えほん動物園(83年、こぐま社)

・こねこのぴっち(87年、岩波書店)

・とべバッタ(88年、偕成社)

・あくたれラルフ(94年、童話館出版)

・てぶくろがいっぱい(2008年、偕成社)
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